研究課題/領域番号 |
23770253
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
砂長 毅 高知大学, 教育研究部自然科学系, 講師 (20448393)
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キーワード | 生殖細胞 / 群体ホヤ / 発生 / 遺伝子 |
研究概要 |
前年度に引き続き,発達した生殖腺をもつミダレキクイタボヤの群体 (有性生殖期)と生殖腺が未発達の群体 (無性生殖期) を材料として作製したサブトラクションライブラリーから 327 クローンの cDNA を得た.ミダレキクイタボヤの EST データベースおよび公共のデータベースを用いた類似性検索による,アノテ―ション作業の結果,104 クローンに集約した。104 クローン全てについて,qRT-PCR によって,有性生殖期の群体と無性生殖期の群体の間で発現量を比較した.その結果,無性生殖期での発現量を 1 としたときに有性生殖期の発現量比が 1 を超えるクローンが 92 個見つかった.続いて,生殖系列で特異的に発現する Vasa 遺伝子の発現量比 (6.1 倍) よりも比が大きかった 43 クローンについて解析を進めた.43 クローンの中でアノテ―ションが付かなかった 18 クローンの未知領域を 3-RACE によって単離した.次に,800 bp 以上の cDNA を単離できたクローンについて in situ hybridization 法で mRNA の発現を調べた. transmembrane serine protease-1 は卵母細胞と発達中の精巣,sjoegren syndrome nuclear autoantigen 1 は精巣付近でクラスターをつくる間充織細胞で発現が見られた.fatty acyl-CoA reductase,creatine kinase は精細胞の存在が予想される発達した精巣,otoancorin は発達中の精巣で特異的な発現が見られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的を達成するため,平成 24 年度には,群体ホヤの生殖細胞形成に関与する遺伝子群を 23 年度の成果に追加して,スクリーニングおよびクローニングし in vivo 発現解析を行った。機能解析についても,発現解析のデータ蓄積をうけて,解析対象の遺伝子を絞り込んだ。こうした実施状況から,本研究は,当初の研究計画に照らし,おおむね順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り,平成 23 および 24 年度の実験で得られた群体ホヤの生殖細胞形成に関与する遺伝子群について,機能解析を進める。さらに,群体ホヤの胚発生期における生殖系列細胞の発生の追跡を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成 24 年度末において,次年度(平成 25 年度)に使用する研究費が生じた。その主な理由は以下の 2 点である。 1 点目は,平成25 年 1 月より着手した遺伝子機能解析実験に使用する器具,試薬に関して,受注業者からの請求が平成 25 年度になったこと。2 点目は,研究に必要な試薬の納入価格を,他の研究室との一括購入および交渉の結果,圧縮できたこと,である。経費圧縮により生じた額は,各実験におけるサンプル数の追加に係る経費とし,本研究の発展のために使用する。前者については,代金請求に応じて,すみやかに支払い手続きをとる。 平成 25 年度の研究費については,本研究の完了に向けて計画的に使用する。
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