研究課題/領域番号 |
23770254
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
沖 真弥 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90452713)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | Nodal / エピブラスト / 多分化能 / マウス初期発生 |
研究概要 |
Nodal はマウスの初期発生において必要不可欠な分泌因子である。これまでに行われたノックアウトマウスの解析で、Nodal はエピブラストの形成と未分化性の維持や、その後の原条形成に必須であることが明らかにされているが、Nodal シグナルが直接的に制御するターゲット遺伝子はほとんど知られていない。そこでこのターゲット遺伝子を網羅的に探索するべく、次世代シーケンサを用いた網羅的発現解析(mRNA-seq)を行った。実験の対象は、受精後5.5日目のマウス胚である。この発生時期においては、エピブラストが pluripotent な状態で、Nodalシグナルがその状態の維持に必要とされている。まず受精後5.5日目のマウス胚を回収し、Nodalシグナルの化学的阻害剤を添加/無添加で培養した。この培養胚からRNAを抽出し、ポリTビーズでmRNAを精製し、cDNAを合成し、次世代シーケンサで読み込んだ。その結果、化学的阻害剤の有無で、優位に発現が異なる遺伝子を複数同定することができた。これらターゲット遺伝子候補について validation を行うために、上記と同じ条件でマウス胚を培養し、in situ hybridization 法を行ったところ、いくつかの遺伝子において mRNA-seq と同様の発現変動を示した。現在、これらのターゲット遺伝子の機能を探るために、過剰発現および遺伝子欠損実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次世代シーケンサを用いた網羅的発現解析が完了し、機能解析実験の段階まで至ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
受精後5.5日胚のNodal シグナルのターゲット遺伝子について、機能解析を行う。ノックアウトマウスを作成し、機能欠損実験を行う。また、Doxicycline 依存的に過剰発現するマウスを作製し、機能獲得実験を行う。また、受精後6.5日胚のNodal シグナルのターゲット遺伝子を探索するために、前年度と同様の実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初は平成23年度に受精後6.5日胚のmRNA-seqを行う予定であったが、まず受精後5.5日胚の結果を見極めた上で行うことにしたため、「収支状況報告書」の「次年度使用額」が生じた。使用計画については、遺伝子組み替えマウスを作製するために、細胞培養やマウスの繁殖・維持に使用する。受精後6.5日胚のmRNA-seqに使用する。また、遺伝子改変マウスの解析のために抗体、試薬、実験器具などの消耗品に使用する。
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