脊椎動物の発生過程における糖鎖プロファイルの全体像の把握のために、レクチンマイクロアレイを用いて、どのような糖鎖が発現しているかについてのグライコーム解析を行った。平成23年度に確立した膜画分を含む糖鎖を結合した全タンパク質を抽出して解析するプロトコールを用いて、発生時期をおった全胚の糖鎖プロファイルを作成した。未受精卵および、二細胞期、八細胞期から幼生期胚までのツメガエル胚を発生段階ごとに分けて、胚全体をサンプルとして用い、抽出したタンパク質を従来の方法を用いて蛍光ラベル化し、レクチンアレイを用いてサンプル中の糖鎖プロファイルの解析を行った。アレイ結果のクラスター解析によって、糖鎖プロファイルが発生の進行に伴って経時的に変化することを明らかにした。発生前期と後期を比較すると、96レクチンプローブのうち、4プローブは前期で高く、5プローブは後期で高いシグナルを示すものがあった。これらのレクチンプローブが結合する糖鎖構造に関連する糖転移酵素の遺伝子発現の変化を経時的に解析したところ、複数の遺伝子で糖鎖プロファイルを支持する結果が得られた。 また、発生領域ごとの糖鎖プロファイルの作成のために、頭部および尾部と、形成初期の腸の原器となる内胚葉をマニュピュレーションにより切り分けて、それぞれの領域から抽出したサンプルをレクチンマイクロアレイにより解析した。その結果、糖鎖のダイナミックな変化を網羅的に観察することができた。
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