嗅覚は、多くの動物にとって生存に必須の重要な感覚である。本課題では、13種の哺乳類のゲノム配列を解析し、アフリカゾウのゲノム中に、これまでに報告された中で最多の約2千個もの嗅覚受容体遺伝子が存在することを見出した。また、個々の嗅覚受容体遺伝子がたどってきた進化の道筋を明らかにするための新たな手法を確立し、それぞれの種における遺伝子の重複と欠失について解析した。その結果、約1億年もの間、遺伝子の重複や欠失がなく、遺伝子配列もほとんど変化していないような、進化的に安定して維持されてきた嗅覚受容体遺伝子が3種類見出された。それらは、哺乳類に共通した重要な生理機能を担っていることが示唆された。
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