研究課題/領域番号 |
23770281
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 英治 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70527895)
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キーワード | 国際情報交換(コンゴ民主共和国) / ゴリラ / マイクロサテライト / 血縁構造 / 地域集団 |
研究概要 |
本研究は、野生ゴリラのDNA試料を分析することで、単雄集団を形成するゴリラの地域集団の遺伝構造、とくにオスの遺伝構造を解明することを目的としている。本年度は、昨年度収集したカフジビエガ国立公園のヒガシローランドゴリラの糞試料を用いて、常染色体上のマイクロサテライト領域の解析を行なうことを試みたが、多くの試料で結果を得ることができなかった。そこで、新たに121試料を現地の共同研究者に収集してもらい、性判別、Y染色体上のマイクロサテライト領域の解析を進めた。その結果、いくつかの集団で集団内にY染色体の多様性が見られることを発見した。これは、若いオスのゴリラが移籍をしていることを示唆している。昨年度得られたニシローランドゴリラの結果では集団内のオスのY染色体はすべて同じハプロタイプであったことを考えると、種間や環境によりゴリラの移籍様式が異なる可能性が考えられる。また、昨年度得られたニシローランドゴリラの遺伝構造の結果を国内学会および国際学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度収集した糞試料から抽出したDNAの解析が一部うまくできなかったため、もう一度糞試料を収集することが必要となり、少し研究が遅れ気味になってしまった。それにより、本年度の目標であったヒガシローランドゴリラのDNA分析をすべて終えることができなかった。しかし、DNA試料収集も終わり、Y染色体の解析を終えたので、わずかばかり研究が遅れている程度である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに終えることのできなかったDNA分析を行ない、集団間のオス間の血縁構造の解明に努める。とくに、シルバーバック間の血縁関係の解析を進め、その結果をまとめ、学会等での発表を行ないたい。さらに、これまでに得られたニシローランドゴリラとの比較を行ない、ゴリラのコミュニティ構造について考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
継続してDNA分析を行なうため、それに必要な試薬に研究費の一部を充てる。その他、本研究内容発表のための国内旅費や図書などの購入を行なう予定である。
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