研究課題
睡眠はヒトにおける基本的欲求のひとつであり、適切に充足されない場合、心身のさまざまな不調につながる。不充分な睡眠の評価と対策を行うにあたって、個人内・個人間で変動する睡眠の必要量とその規定因子を同定することが重要である。近年、睡眠の量的な調節を行う恒常性維持機構と生体リズム調節機構との機能的連関が指摘されている。本研究では、睡眠調節における生体リズム調節機構と恒常性維持機構との関連を検証することを目的とした。視覚が健常なFRT患者の内因性概日リズム周期(τ)を、外界の24時間周期に同調している健常対照者のそれと比較した。6名のFRT患者と17名の健常対照者(9名の中間型生活者と8名の夜型生活者)が、強制脱同調プロトコル(FD)に従って、7日間、28時間周期の睡眠覚醒スケジュールに導入された。FD前後のコンスタントルーチン法によって測定されたメラトニン位相の差分により各個人のτが算出された。FRT患者のτは、中間型生活者のそれと比較して有意な延長を示したが、夜型生活者では広い分散を示し、FRT患者との有意な差はみられなかった。さらに、FRT患者におけるメラトニン分泌リズムのτは、未治療期の睡眠-覚醒サイクルのτとは有意な相関を示さなかった。本研究の知見は、FRTという難治性の睡眠障害の発症メカニズムにτの延長という概日リズム機能の障害が関与することを示唆するが、睡眠恒常性の異常などの複数の要因が多層的に関与していると考えられる。
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