研究課題/領域番号 |
23780002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桧原 健一郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (10595713)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | イネ / 胚 / 胚乳 / 細胞死 / 胚サイズ / 発生 |
研究概要 |
胚―胚乳比率に異常を示す5つの変異体の遺伝学的関係を明らかにするため、二重変異体の作成を目指し、交配を行い、作成された F 1種子は冬期栽培を行い、F2種子の採集した。現在、遺伝子型の確認と表現型の詳細な解析を開始している。マッピングにより、胚が小さくなる変異体(re1、re2、re3)の原因遺伝子の同定を行った結果、RE1はR2R3-type MYBタンパクをRE2はLBDタンパクをコードすることが明らかとなった。また、real-time PCR解析からRE1、RE2はどちらも受精後の子房で特異的に発現しており、さらにin situ hybridizationによって、これら2つの遺伝子は胚周辺の胚乳組織で特異的に発現することを見いだした。また、詳細な細胞形態学的な観察によりRE1、RE2が発現している胚周辺の胚乳組織では他の胚乳組織には見られない層構造が存在し、その形成過程には細胞死が関与することを示す結果が得られた。RE1、RE2の変異体の表現型や胚乳組織での特異的な発現パターンならびにその発現領域での胚乳組織の特殊な分化などからRE1、RE2は胚サイズを胚乳側から規定する鍵因子である可能性が高いと考えている。現在、RE1、RE2遺伝子の機能解析を行うべく、胚乳あるいは胚で特異的に過剰発現させるコンストラクトを作成し、形質転換体を作成しているところである。re3に関しては、現在までにおよそ50遺伝子を含む領域まで狭めているが原因遺伝子の特定に至っていない。胚と胚乳間での遺伝子発現プロファイルを行うため、マイクロアレイ解析を行った。その中で胚―胚乳比率に関与することが推測された10個の候補遺伝子のcDNAのサブクローニングを終了させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画に予定していたre3に関しては、現在までにおよそ50遺伝子を含む領域まで狭めているが原因遺伝子の特定に至っていないが、領域内に存在する遺伝子のシークエンスを順次進めており、24年度春には単離できると思われる。その他の研究については、研究計画に予定していた通り、ほぼすべて順調に進んでおり、24年度に予定していたTillingを用いた変異体の探索などにもすでに着手し、前倒しで研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に示した予定にしたがって研究を進めていく。形質転換体の作成やそれらの形態学的解析では、表現型のばらつきなども予想されるため、系統数の増加などで対応したいと考えている。また、マイクロアレイによる遺伝子プロファイリングによる解析から得られた胚ー胚乳比率に関与する候補遺伝子の発現パターンの解析は、早急に行い、マーカーとして使用できるのかについて検討したい。マーカーとして使用できるものでは、二重変異体の解析に利用し、二重変異体の遺伝学的関係を形態学的のみならず、分子レベルでの関係についても考察していこうと考えている。re3に関しては、現在までにおよそ50遺伝子を含む領域まで狭めているが原因遺伝子の特定に至っていないが、順次候補遺伝子のシークエンスを行っているがなるべく早期に遺伝子を同定し、RE3の機能解析を進めていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用予定の研究費については、研究に必要な実験ならびに植物体育成のための消耗品や研究成果報告のための学会参加などに使用する予定である。
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