研究課題
胚―胚乳比率に異常を示す5つの変異体の遺伝学的関係を明らかにするため、二重変異体を作出し、表現型の詳細な解析を行った結果、胚ー胚乳比率を規定する上で、胚が小さくなるre変異が遺伝的上位であることが明らかとなった。マッピングにより、胚が小さくなる変異体(re1、re2、re3)の原因遺伝子の同定を行った結果、RE1はR2R3-type MYBタンパクをRE2はLBDタンパクをコードすることが相補性試験などから明らかとなった。さらにRE1、RE2はどちらも受精後の子房で特異的に発現しており、さらに2つの遺伝子は胚周辺の胚乳組織で特異的に発現することを見いだした。re3に関しては、20遺伝子を含む領域まで狭めているが原因遺伝子の特定には至らなかった。詳細な細胞形態学的な観察によりRE1、RE2が発現している胚周辺の胚乳組織では他の胚乳組織には見られない層構造が存在し、その形成過程には細胞死が関与することを示す結果が得られた。RE1、RE2の変異体の表現型や胚乳組織での特異的な発現パターンならびにその発現領域での胚乳組織の特殊な分化などからRE1、RE2は胚サイズを胚乳側から規定する鍵因子である可能性が高いことが明らかとなった。現在、RE1、RE2遺伝子の機能解析を行うべく、胚乳あるいは胚で特異的に過剰発現させる形質転換体を作成したが、胚、胚乳で特異的にRE1、RE2遺伝子が高発現するものは得られなかった。この実験を遂行するためには適切な発現を誘導するプロモーター領域の選別が課題である。胚と胚乳間での遺伝子発現プロファイルを行うため、マイクロアレイ解析を行い、その中で胚―胚乳比率に関与することが推測された候補遺伝子の発現をin situ hybridization法によって観察した結果、RE1、RE2と同様に胚周辺胚乳領域で発現していることを見いだした。
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Journal of Experimental Botany
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The Plant Journal
巻: 未定 ページ: 未定
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