研究概要 |
本研究ではダイズ品種「WILIS」由来のダイズわい化病高度抵抗性遺伝子Rsdv1同定を目的として、ウイルスベクター誘導によるジーンサイレンシング(Virus-induced gene silencing, VIGS)を利用した試験を行った。 Rsdv1候補領域の部分配列を導入したVIGSベクターを作製し、ダイズわい化病抵抗性ダイズ系統「トヨコマチRsdv1 NIL」に接種することで、Rsdv1候補領域の発現が抑制された系統を作出した。また、VIGS処理されたダイズ系統のダイズわい化病抵抗性を評価可能な人工ウイルス接種検定法を開発した。 「トヨコマチRsdv1 NIL」にVIGSベクターとダイズわい化ウイルス(Soybean dwarf virus, SbDV)を同時接種した結果、単独接種した場合と比較してVIGSベクターの感染率が低下した。VIGSベクターの感染率を高めるため、VIGSベクターとSbDVを同時接種した1週間後および2週間後にさらにVIGSベクターを接種した結果、VIGSベクターの感染率は30%程度まで上昇した。しかし、VIGSベクターの感染が確認された「トヨコマチRsdv1 NIL」個体におけるSbDV感染率には有意な上昇は認められなかったことから、Rsdv1遺伝子の同定には至らなかった。VIGS法では遺伝子発現の抑制が20~40%程度と不完全であること、またSbDVを同時接種したためにVIGSベクターによる発現抑制以前にSbDVが感染していた可能性が考えられ、本遺伝子の同定にはVIGS法は適さなかったと考えられる。
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