研究課題/領域番号 |
23780008
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
長谷 純宏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (70354959)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 植物育種 / 突然変異 |
研究概要 |
本研究課題は、突然変異育種の効率化を図る研究の一環として、実用的な手法の確立には至っていない変異の方向性制御に着目し、高発現している遺伝子が変異しやすい可能性について検討することを目的とする。遺伝子の発現量と変異率との関係を調査するため、ホルモン誘導性プロモーターの制御下に変異検出マーカーとなる遺伝子を持つシロイヌナズナ形質転換体を作出した。デキサメタゾン及びエストロゲンによる発現誘導用バイナリーベクターであるpTA7002及びpER8のそれぞれに、トライコーム形成に必須であるGL1遺伝子のcDNAをクローニングした(GL1cDNA/pTA7002 及び GL1cDNA/pER8)。pTA7002については、カリフラワーモザイクウイルス35SプロモーターをGL1遺伝子のプロモーターに置き換えたベクターも作製した(GL1promoter,GL1cDNA/pTA7002)。これら3種類のベクターを用いてgl1-1変異株を形質転換し、ベクターのもつ薬剤耐性を指標に計97個体の形質転換体を獲得した。GL1promoter,GL1cDNA/pTA7002を導入した系統について、T2及びT3世代での薬剤耐性の分離比ならびにサザンハイブリダイゼーション解析から、シングルコピーのT-DNAをホモに持つと思われる系統を選定した。これらの系統では、ホルモン処理に応答して葉表面にトライコームが形成されたが、発生密度は概して非常に低かった。ベクターの種類ならびに形質転換体の系統間によってトライコーム発生の程度に差異が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題では、トライコーム発生の有無を指標として変異セクターを検出するため、ホルモン処理に応答して安定してトライコームが発生する形質転換体系統の作出を計画している。当初予定では、平成23年度中に試験目的に見合う形質転換体系統を獲得する予定であったが、ホルモン処理に応答してトライコームが発生することは確認できたものの、変異セクターの検出に使用可能な程度にまでトライコームが多数発生する系統は獲得できていない。ホルモンの処理方法が不適切であることやトライコームの発生に必要な遺伝子の発現量が得られていないこと等の原因が考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
変異検出マーカーとなる遺伝子の発現を誘導するためのホルモン処理の方法(濃度、時期、投与方法)ならびに形質転換に用いるシロイヌナズナのエコタイプの違いによる影響を検討するとともに、さらに多数の形質転換体を作出することにより、安定してトライコームが発生する系統を探索する。試験目的に見合う系統が得られない場合は、他の変異検出マーカーとなる遺伝子や変異検出方法を利用することも検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画に比べて平成23年度の進捗状況がやや遅れているため、次年度使用額(124千円)が生じたが、これについては平成24年度交付予定額と合わせて植物育成用資材、試薬及びプラスチック器具類等の消耗品として使用する。平成24年度交付予定額の内、100千円を国内旅費として使用する。
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