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2011 年度 実施状況報告書

イネ倒伏抵抗性における上位部稈の湾曲に関与する量的形質遺伝子座の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23780014
研究機関宇都宮大学

研究代表者

柏木 孝幸  宇都宮大学, 農学部, 准教授 (40595203)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードイネ / 倒伏抵抗性 / QTL
研究概要

本年度の計画に基づき、上位部稈の挫折抵抗及び形態学的特性に関与する量的形質遺伝子座 (QTL) の解析を行った。QTL解析のための遺伝解析材料として、イネゲノムリソースセンターで配布されているコシヒカリ×カサラス間の染色体断片置換系統群(CSSL 39系統)と両親品種を水田圃場で栽培した。表現型解析として、稈の湾曲が生じやすい上位部3節間について挫折抵抗、節間長、及び節間長径を出穂から6週目 (収穫期) に測定した。表現型解析の結果、第1節間の挫折抵抗ではコシヒカリが1.02±0.06Nであり、CSSLの中で最も高い系統はコシヒカリの2.0倍、最も低い系統は0.8倍であった。第2節間の挫折抵抗ではコシヒカリが2.14±0.16Nであり、CSSLの中で最も高い系統はコシヒカリの1.9倍、最も低い系統は0.7倍であった。第3節間の挫折抵抗では、コシヒカリが3.53±0.28Nであり、CSSLの中で最も高い系統はコシヒカリの1.9倍、最も低い系統は0.8倍であった。各形質間の相関関係をみると、第1節間では挫折抵抗と節間長及び節間長径の間で有意な正の相関を示した。第2節間では挫折抵抗と節間長及び節間長径の間で有意な相関は無く、第3節間では挫折抵抗と節間長及び節間長径の間で有意な負と正の相関を示した。挫折抵抗に関与するQTL解析の結果から、節間特異的に作用するQTLが第1、2、3、4染色体上に存在した。一方で上位3節間すべてにおいて作用するQTLが第7、10、11、12染色体上に存在した。また、これらのQTLの中に節間の形態に関与するQTLと重複しないQTLが存在した。本年度結果から、カサラスを遺伝資源として形態にほとんど影響せずに上位部3節間のすべての挫折抵抗を高めるQTLの存在が明らかとなった。この結果はQTLを使って上位部稈の物理的強度を効率よく改良できることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は上位部稈の挫折抵抗及び形態学的特性に関与するQTL解析を計画した。その結果として、カサラスを遺伝資源として形態にほとんど影響せずに上位部3節間のすべての挫折抵抗を高めるQTLを見い出し、節間特異的に作用する挫折抵抗に関与するQTLがあることも明らかにした。また、本年度の成果を学会発表した。研究は当初の計画通り進んでおり、順調に進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

研究計画に基づき、次年度は上位部稈の挫折抵抗及び形態学的特性に関与するQTLの解析、QTLの機能解析、NILの育成を行う。QTL解析では本年度得られた結果の確認を行い、QTLの機能解析では本年度明らかになったQTLの中から有用と考えられるQTLについて形態学的特性、生理学的特性及び成分特性を解析する。さらにQTLの作用特性を明らかにするために出穂期から収穫期までの挫折抵抗の経時的変化を解析する。さらにNILの育成に向けて、2年間実験結果から有用なQTLを特定し、そのQTLを有するCSSLを選抜して戻し交雑する。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費はQTL解析、QTLの機能解析及びNIL作成に向けた多検体のDNAマーカー選抜のための実験法確立のために使用する。QTL解析及びQTLの機能解析では主に解析に用いるプラスチック系器具と薬品に研究費を使用する。DNAマーカー選抜のための実験法確立では、96ウェルのプレート等を使って4℃で遠心分離できるプレート用のローターと冷却機能が付いた多目的冷却遠心機、多検体のDNA抽出の際に複数個体を同時に破砕できるビーズ破砕機、さらにDNA抽出から遺伝型解析に用いるプラスチック系器具と薬品に研究費を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] イネにおける上位部節間の挫折抵抗に関与する量的形質遺伝子座の解析2012

    • 著者名/発表者名
      柏木孝幸、太田実佐子
    • 学会等名
      日本作物学会第233回講演会
    • 発表場所
      東京農工大学農学部
    • 年月日
      2012年 3月 29日

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公開日: 2013-07-10  

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