計画に基づき、bsuc11の機能解析として上位部稈の形態生理学的特性及び化学成分の解析と出穂以降における挫折抵抗(BS)の経時的変化の解析、近似同質遺伝子系統(NIL)の作成を行った。bsuc11を有するCSSL(CSSLbsuc11)を用いて各節間の形態特性を解析した結果、昨年同様に外径と内径に有意な変化は確認されなかった。稈壁と皮層繊維組織の厚さについて解析すると、第1節間の皮層繊維組織厚に有意な増加が確認された。上位3節間の乾物重をコシヒカリと比較した結果、有意な乾物重増加が確認された。上位3節間に含まれる非構造性炭水化物(NSC)と灰分の含量を比べると、有意な変化は確認されなかったが、無機元素成分の中でZnが有意に増加していた。2年間の解析において、NSCと元素含量の結果に共通の変化が確認されなかったことから、CSSLbsuc11で確認された乾物重の増加はその他の構成成分である構造性炭水化物が影響していることが示唆された。さらに第1節間の挫折抵抗増加には皮層繊維組織厚が関与している可能性が示唆された。BSの推移では、コシヒカリは出穂後2週目から6週目にかけて第1節間のBSが低下し、第2と第3節間では出穂以降低下していた。CSSLbsuc11は出穂後4週目から6週目にかけてコシヒカリよりも各節間のBSが高く推移した。この結果は昨年度と同様の結果であり、bsuc11は出穂後に生じる上位部稈の挫折抵抗低下を抑制する効果があることが明らかとなった。CSSLbsuc11を戻し交雑して得られた後代系統 (BC1F2) を用いてbsuc11領域の矮小化を行った。後代系統を約1000個体用いて遺伝型解析を行い、選抜された個体の遺伝型と表現型の比較から、2つのQTLの存在が示唆され、それぞれ1.6Mb(bsuc11a)と2.6Mb(bsuc11b)の候補領域を得た。
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