本研究では地温上昇がサツマイモの塊根生産に及ぼす影響について検討するため,新旧20品種を異なる地温条件下で栽培し,高地温に対する耐性評価を行った.高地温耐性の指標とした上イモ生重の変動係数は,3.4~173.2の範囲にあり,大きな品種間差が見られた.また,生育初期の植被率が高い品種ほど地温上昇が抑制され,上イモ生重の変動係数が小さいことが示唆された.さらに,高温条件下では,塊根への光合成産物の転流が抑制されることが確認された.以上の結果から,高気温・地温の環境下では,地上部の初期生育が旺盛で,早期に高い植被率を実現する形質を有することが安定した塊根生産を実現するために必要であると考えられる.
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