研究課題/領域番号 |
23780019
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松島 肇 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40359485)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 環境政策 / 政策研究 / 生態系修復・整備 / 海洋保全 / 海洋利用 |
研究概要 |
本年は1)砂浜海岸に対する認識調査、2)自然環境の評価、3)適正な利用管理手法に関する研究、を行うことを計画していたが、2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災による津波被害の大きさから、1)3)でメインに位置づけていたアンケート調査への影響を考慮し、これらの調査は次年度以降に延期し2)の自然環境調査を中心に行った。また、今年度から当該補助金が前期・後期の二期に分けて支給されることにより、当初予定していた砂浜海岸の空撮が調査時期に資金が用意出来なかったため、次年度以降に延期した。日本の砂浜海岸について、植生自然度を指標として自然度評価を行った結果、後背地まで自然状態で残された砂浜海岸は非常に少なく、本土域に関しては北海道の自然度の高さが際立って特徴的であった。しかし、北海道で唯一自然環境保全地域に指定されている以久科海岸より、特に保護されておらず札幌圏に位置し年間利用者数が最も多い石狩海岸の自然度が遥かに高く評価された点は注目すべき結果であった。石狩海岸を対象に、植生と環境省絶滅危惧II類に指定されている穴居性クモ類のイソコモリグモの分布調査を春と秋の二回行った結果、植生に関しては車両の乗入れによる撹乱が一部見られるものの、海岸線から内陸に向かって汀線と平行に帯状構造がよく残されていることが分かった。また、イソコモリグモの分布に関して、石狩海岸では広く分布していることが明らかとなったが、分布は汀線から60mの砂浜と砂丘植生の移行帯に帯状に分布していることが分かった。この分布域は、石狩海岸で問題となっているレクリエーション利用が集中する範囲と重なっているため、植生だけでなくイソコモリグモの分布にもレクリエーション利用の影響が大きいことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述の通り、2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災による津波被害の大きさから、海岸に関する意識を問う1)3)のアンケート調査は、結果への影響が懸念されることから今年度の実施は不適であると判断し、これらの調査は次年度以降に延期した。また、今年度から当該補助金が前期・後期の二期に分けて支給されることにより、当初砂浜海岸の空撮を予定していたが、調査時期に必要となる資金が用意出来なかったため、次年度以降に延期した。他の調査は計画以上に進展したものもあり、全体としては「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度では2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災による津波被害の大きさから、海岸に関する意識を問う1)3)のアンケート調査は、結果への影響が懸念されることから今年度の実施は不適であると判断し、これらの調査は次年度以降に延期した。また、今年度から当該補助金が前期・後期の二期に分けて支給されることにより、当初砂浜海岸の空撮を予定していたが、調査時期に必要となる資金が用意出来なかったため、これらの調査も次年度以降に延期した。そのため、今後はこれらの延期した調査を中心に進め、本年度行った自然環境調査と合わせてとりまとめを行っていく。また自然環境の調査では、砂浜海岸の生態系サービスを評価する項目の整理っており、次年度以降はこの評価に重点を置く。
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次年度の研究費の使用計画 |
前述の通り、アンケート調査の延期、及び調査地海浜の空撮延期により、使用予定であった予算を繰り越すことになったため、次年度以降は実施出来なかった沿岸住民や利用者、管理者を対象としたアンケート調査を行い、そのための出張旅費、印刷費、郵送費、調査票の配布・入力の学生アルバイトへの謝金として支出する。同様に調査地海浜の空撮を行い、そのための経費を繰り越し分から支出する。
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