研究課題/領域番号 |
23780019
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松島 肇 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (40359485)
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キーワード | 環境政策 / 政策研究 / 生態系修復・整備 / 海洋保全 / 海洋利用 |
研究概要 |
本年は1)砂浜海岸に対する認識調査、2)自然環境の評価、3)適正な利用管理手法に関する研究、を実施した。 砂浜海岸に対する認識調査については、北海道石狩市にある石狩浜を対象地とし、利用者が認識する砂浜海岸の生態系サービスに関するアンケート調査を、2012年7月に海岸利用者を対象に行なった。結果は現在集計中であるが、概ね砂浜海岸の生態系サービスに関する認知はレクリエーション利用に関する「文化的サービス」以外は低い傾向がみられた。さらなる分析を進めると共に沿岸住民の意識との比較を行う。 自然環境の評価については、石狩浜を対象とした穴居性クモ類の分布調査に引き続き、同地での植生調査を行い、植生の帯状構造と穴居性クモ類の分布との関連について把握した。その結果、明確な帯状構造が確認でき、さらに穴居性クモ類の分布には砂浜と連続して海浜性植物が優占する海岸草原の存在が重要であることがわかった。また、後述する市民グループとの協働により自然資源の抽出・可視化(マップ化)を行った。 適正な利用管理手法については、市民・行政・専門家からなる市民グループ「いしかり海辺ファンクラブ」を立ち上げ、その運営に関わりながら協働による砂浜海岸のガバナンスについて検討を行った。具体的には、海岸利用者へ向けたカントリー・コード(自主ルール)の策定および普及啓発、自然資源の抽出および可視化、海岸管理者・利用者・地域住民を含めた環境フォーラムの企画検討、を行った。これらの成果については、市民グループのウェブサイトにて公開されている。 http://ishikari-umibe-fc.jimdo.com
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年の震災による影響から昨年度は研究の進捗が遅れていたが、今年度は概ね予定通りに達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度であるため、残りの調査を完了し、成果の取りまとめを行う。また、海岸管理者を含めた環境フォーラムを開催し、砂浜海岸の新たなガバナンスについて提言を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
震災の影響を考慮し、沿岸住民へ行うアンケート調査を最終年度であるH25年度に行うこととしたため、今年度に未使用学が発生した。そのため、最終年度である次年度は、沿岸住民や利用者、管理者を対象としたアンケート調査を行うための出張旅費、印刷費、郵送費、調査票の配布・入力の学生アルバイトへの謝金等が必要となる。また、現地調査や得られた成果を積極的に学会等で発表するための出張旅費、論文校閲等による費用等も必要となる。
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