ブドウ‘ピオーネ’、‘マスカットオブアレキサンドリア’、モモ‘白鳳’、イチジク‘桝井ドーフィン’、‘リサ’、‘ビオレーソリエス’各12樹をもちいて、オゾン曝露処理を行った。閉鎖系人工気象室2室を用い、うち1室にはオゾン発生機を設置し150ppb・1日あたり7hで5日間(曝露室)、別の1室はチャコールフィルタを設置し、オゾン濃度を10ppb以下に調節した。ブドウへのオゾン曝露処理では‘マスカットオブアレキサンドリア’では‘ピオーネ’よりも、可視被害の発生開始日が遅く、最終的な被害程度も低く、また、個体光合成速度も高かった。イチジクでは品種間に差がなかった。収穫後に樹を解体し乾物分配を見たところ、根の乾物重がオゾン曝露により有意に低下した。 次に、台木品種の違いによるオゾン曝露の影響を台木品種の‘テレキ5BB’、‘101-14’に接いだ前述のブドウ2品種、ならびにその自根樹を用いて調査した。光合成活性はいずれもオゾン曝露で低下したが、台木の違いによる差はなく、根の乾物重量の変化や樹体内の窒素をはじめとした養分含量などに大差はなかった。 ブドウ‘ピオーネ’鉢植え樹を用いて、オゾン処理開始前日に、1-MCP処理を併用して葉の可視被害に及ぼす影響を調査した。500から2000ppb、24hの1-MCP気浴処理では可視被害の抑制みられなかった。2000ppbの1-MCP処理では、初年度にはオゾン曝露後3日目のみ蒸散速度の低下が抑制されたが、曝露1か月後の個体乾物重に影響がなかった。オプトリーフ(Y-1Wタイプ)を用いて、個葉の可視被害と日照量との関係を検討したところ、同節位の葉では、積算日照量の高い葉で可視被害の程度が高かった。また、節位別に可視被害の程度を見たところ、節位の低い葉、すなわち古い葉ほど可視被害の発生日が早く、その程度も高かった。
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