レタス(Lactuca sativa L.)は世界中で広く栽培されるキク科の園芸作物である。花成が誘導されたのち茎が著しく伸長する現象を抽だいと呼ぶが、レタスでは高温により花成が誘導され、高温・長日条件により抽だいが促進される。そこで本研究では、抽だいを司る遺伝子座の検出を目的として、抽だいの早晩性に関するQTLの解析を行った。 材料として、レタスの栽培種‘チマサンチュー’(茎レタス、早抽性)と‘レッドファイヤー’(リーフレタス、晩抽性)の組換え近交系、F5集団126系統を各5個体ずつ栽培し、抽だい、開花および種子形成までの播種後日数、茎長、葉数および花序の節数を計測した。両親についてRAD(Restriction Site Associated DNA)シーケンスを行った。 42個のRADマーカーと、既に報告されている44個の合計86個のマーカーの多型結果をもとに、Rのqtlパッケージを用いて連鎖地図を作製した。その結果、86個中81個のマーカーが連鎖群を形成した。得られた連鎖地図は全長902.5cM、マーカー間の平均距離13.9cM、連鎖群数16個であった。 次に、各形質についてRのqtlパッケージを用いて、CIM法によるQTL解析を行った。その結果、抽だいまでの日数のQTLは、第1連鎖群のマーカーSNP6343付近、および第16連鎖群のマーカーLK1425付近の計2か所で検出された。第1連鎖群に位置するQTLは‘レッドファイヤー’の対立遺伝子が、第16連鎖群に位置するQTLは‘チマサンチュー’の対立遺伝子が、日数を増加する方向にはたらいていた。今回の解析により、両親どちらの遺伝子型にも抽だいを遅らせるQTLが存在することが示唆された。今後は、より精細な連鎖地図を作製し、QTL解析を行うことを予定している。
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