研究課題/領域番号 |
23780026
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
山崎 聖司 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (30363295)
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キーワード | キュウリ / 性分化 / 雄花 / 雌花 / 雄しべの退化 / CsCYR / サイクリン |
研究概要 |
近年、短日処理を行った混性型キュウリ(品種:Winter Long)の茎頂で強い発現を示す遺伝子としてCucumis sativus cyclin-related(CsCYR)、C. sativus cyclophilin(CsCYP)の2つの遺伝子が単離・同定された(Cho et al. 2005)。Winter Longでは短日処理で雄花形成が促進されるため、Choら(2005)はCsCYR、CsCYP遺伝子は雄花形成に関与すると結論づけた。しかしながら雄花におけるこれら2つの遺伝子の発現や機能は不明である。そこでキュウリの雄花形成におけるこれら2つの遺伝子の機能推定を目的として混性型キュウリ(品種:山東四葉2号)を用いて解析を行った。 1.雄花、雌花の蕾全体におけるCsCYR、CsCYP遺伝子の発現解析 蕾長7mm以下の雄花の蕾および蕾長16mm以下の雌花の蕾を用いてRT-PCRを行った。その結果、CsCYR遺伝子は雄花に比べて雌花の蕾特異的な発現を示した。また、CsCYP遺伝子は雄花と雌花の蕾で同程度の発現を示した。 2.雄花、雌花の蕾におけるCsCYR、CsCYP遺伝子の発現場所の解析 蕾長7mm以下の雄花の蕾を切り分けた、がく、花弁、雄しべ、雌しべが退化した領域、および蕾長16mm以下の雌花の蕾を切り分けた、がく、花弁、雄しべが退化した領域、雌しべを用いてRT-PCRを行った。その結果、CsCYR遺伝子は雌花の雄しべが退化した領域でのみ強い発現を示した。一方でCsCYP遺伝子については雄花のがく、花弁、雌しべが退化した領域で、また、雌花のがく、花弁、雄しべが退化した領域で発現が認められた。 3.まとめ CsCYR、CsCYP遺伝子のうちCsCYR遺伝子は雌花における雄しべの退化に関与することが示唆された。この結果はChoら(2005)の主張を支持しない結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、安全かつ効率的な農業の確立を目指し、雄しべと雌しべの発育を分子レベルで人為的に制御する技術の開発を究極の目標として、植物の性分化の分子メカニズムを解明する。そのために、最も多様な性表現型を示す品種が存在するキュウリを材料に用いて研究を行うものである。 1.雄花、雌花の蕾全体におけるCsCYR、CsCYP遺伝子の発現解析 2.雄花、雌花の蕾におけるCsCYR、CsCYP遺伝子の発現場所の解析 以上の解析を通じて、キュウリの性分化においてCsCYR、CsCYP遺伝子のうち、CsCYR遺伝子は雌花における雄しべの退化に関与することが示唆された。これにより、キュウリの性分化に伴う雌花における雄しべの退化を分子レベルで解明するための糸口を見い出すデータを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究において、雌花における雄しべの退化に関与することが示唆されたCsCYR遺伝子は、細胞周期で働くサイクリン関連遺伝子である。そのため、キュウリの性分化における生殖器官の退化と細胞周期との関係を分子レベルで明らかにするために、細胞周期関連遺伝子に注目し、発現解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、研究計画に沿って研究費を使用する。すなわち,ガラス室(屋外)での植物生理学実験、研究室(屋内)での分子生物学実験、成分分析、得られた成果の論文投稿に係る経費(英文校閲)などに使用する予定である。
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