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2012 年度 実施状況報告書

日本独自の都市景観が作る生物多様性維持機構:鳥類生息環境としての神社と寺の異質性

研究課題

研究課題/領域番号 23780028
研究機関岩手医科大学

研究代表者

三上 修  岩手医科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10404055)

キーワード鳥類 / 生物多様性 / 都市 / 景観 / 社寺林 / 生息地 / 都市緑地
研究概要

都市の中に見られる神社および寺は、日本の都市において重要な緑地を提供している。これらの緑地には、さまざまな鳥類が生息しており、都市の生物多様性を高めていると言える。これまで、これらの緑地は、「社寺林」としてひとくくりにされてきた。しかし、寺と神社の持つ林は、サイズ、森の質、空間配置などの点からさまざまな意味で異なっている。本研究の目的は、鳥類の生息環境として、社林や寺林にどのような違いがあるのかを明らかにし、それらが日本独自の都市の生物多様性の維持機構として働いていることを明らかにすることである。
そのために、まず野外調査を行った。2012年度は、盛岡市と弘前において、2011年度に採れなかった繁殖期の記録をとった。また冬季に、2011年度に採ったデータの補足および環境情報を得るために、調査を行った。さらに、将来的に西日本においても同様の調査を進めるために、調査地としてふさわしいかを確認するために、短期で福井に赴き、調査地としての質を検討した。
成果としては3つの論文が受理された。ひとつは、既存のデータから、どういった鳥が都市鳥になりうるのか、という点について2011度に投稿していた論文が受理されるに至った。ふたつめは、同様に2011年度に投稿していたものであり、都市の鳥類の個体数や種数は、周囲の環境と比べて多いのか少ないのかを解析したものである。3つめは、弘前の調査中に、これまで報告のないタイプのハシボソガラスによる他種への影響が確認されたので、それを報告したものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、北東北の社寺林において、繁殖期と冬季に調査を行った。繁殖期の調査は、本来は、2011年度に行う予定であったが、法案の通過の関係から科研費の内定の発表が遅れ、できなかったものをやったものである。冬季の調査は、2011年度に行ったものの補足的なデータを取ったものである。その意味では多少の送れはまだあるが、おおむね予定通り進んでいる。
ただし西日本における冬季の調査を進める予定であったが、それは不充分に終わっている。その理由は論文成果を出す方に、力を割いたためである。その結果、成果として、3つの論文を出すことができた。調査としては不十分なところもあるが、論文を発表できたことがその点をカバーしていると考え、おおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

野外調査として、北東北で補足的な調査を行う予定である。というのも、北東北の記録はだいたい採り終ったが、一部、天候などにより十分に記録が取れなかったところ、および、解析を進めていくうちに必要だと感じたデータがあったので、その分の記録を採るためである。
また、当初の予定であった通り、北東北の結果と比較するために、調査地を西日本にも拡大し、調査をしていく。場所は、福井とほかの地域を比較検討し、最終的な調査地を決める予定である。
そして、すでに得たデータを解析し、論文として発表していく。特に北東北のデータを解析し、それを発表する予定である。平行して、自分でデータを取ることも必要だが、すでにある記録をもちいた解析も並行して行い、都市における社寺林などの役割について検討する予定である。

次年度の研究費の使用計画

前述したとおり、北東北の補足的な野外調査、そして、西日本における野外調査のための旅費を計上する予定である。 それらの調査地の地理情報を得るための電子地図および電子データの購入も検討している。
さらに論文の進捗状況によるが、英文校閲費も必要になる可能性がある。
また、本研究の目的であった、文化・歴史の面から神社の林と、寺の林を比較するために、文献や書籍なども購入する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] No evidence of interspecific competition regulating the urban avian communities of the Kanto region in Japan.2013

    • 著者名/発表者名
      Osamu K. Mikami & Hisashi Nagata
    • 雑誌名

      Ornithological Science

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 都市の鳥類群集におけるハシボソガラスの影響事例2013

    • 著者名/発表者名
      三上かつら & 三上修
    • 雑誌名

      Strix

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structure of the Japanese avian community from city centers to natural habitats exhibits a globally observed pattern.2012

    • 著者名/発表者名
      Osamu K. Mikami & Katsura Mikami
    • 雑誌名

      Landscape and Ecological Engineering

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s11355-012-0201-8

    • 査読あり
  • [備考] https://sites.google.com/site/osamukmikami/study

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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