研究課題
イチジクは他の多くの果樹と異なり結果枝の下位から上位に向けて順次果実が分化し、1年の中での着果期間が長いなど特異な花成の特徴を有している。本研究ではイチジクの花成関連遺伝子群の解析を通じて、その機構解明を試みた。前年度までに、3種類のFT遺伝子を含むイチジク花成関連遺伝子群を網羅的に同定し、その中の一つであるFcFT1の発現量が下位から上位方向に上昇し、かつ着果ステージと強い相関を有することを明らかにした。本遺伝子は機能解析実験により花成促進能を有することが確認され、かつ相対的長日・相対的短日の両方の光条件下で発現が誘導されることから、FcFT1がイチジクの着果制御遺伝子であり、光環境下で本遺伝子が活性化することでイチジクの着果が促進されることが予想された。FcFT1の発現に光が必要であることから、最終年度は光や日長に制御されることが知られるシロイヌナズナ花成経路上遺伝子群のイチジクホモログについて配列の詳細な調査を行った。その結果、イチジクフィトクロムB遺伝子の光情報伝達領域の一部にトランスポゾン様の挿入配列の存在が認められた。現時点でフィトクロムB遺伝子とイチジク花成様式との直接的な関係は明らかでないが、上記挿入配列によるフィトクロムB機能の変化が、FcFT1の日長感受性を介してイチジクの長期的花成に関与している可能性もある。現在、ゲノム支援を受けたRNA-seq解析によりFcFT1と発現が相関する遺伝子のスクリーニングを行っており、これまでに数種類の候補を得ている。上記の結果とRNA-seq解析の結果を総合することにより、イチジク花成制御系全体についてさらに解明が進むと考えられる。
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BMC Plant Biology
巻: 13 ページ: 216
doi:10.1186/1471-2229-13-216
http://farc.pref.fukuoka.jp/organization/biotech/work_index.html