本研究では、環境保全型水田において水田害虫アカスジカスミカメ(以下アカスジ)が水田侵入時にアシナガグモの網に引っ掛かり株元に落下することで、徘徊性のコモリグモ類による害虫の捕食頻度が増加するという仮説を、野外パターン調査や害虫のDNAマーカーを用いたクモ類の胃内容分析等から検証した。 アカスジのDNAマーカーを用いたコモリグモの食性分析により、アシナガグモ密度の高い水田ではコモリグモによるアカスジ捕食率が高まることが示唆された。さらにアシナガグモ密度の高い水田ではアシナガグモの造る網の被度が高い傾向があることもわかった。これらの結果は、本研究の仮説を一部示唆するものであると考えられる。
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