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2012 年度 実施状況報告書

昆虫の胚発生における幼若ホルモンの機能およびシグナル伝達経路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23780050
研究機関名古屋大学

研究代表者

水口 智江可  名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90509134)

キーワード昆虫 / 発生・分化 / 幼若ホルモン
研究概要

昆虫の脱皮・変態を制御する脱皮ホルモンと幼若ホルモン (JH) は、胚発生においても重要な役割を果たすと考えられているが、その詳細は不明である。本研究では、昆虫の胚発生におけるホルモンの濃度変動・役割・およびシグナル伝達経路の解明を目的とし、モデル昆虫の一つである甲虫コクヌストモドキを用いて実験を進めた。平成24年度の主要な研究成果は以下の通りである。
【胚期における転写因子の発現解析】 幼虫期や蛹期にホルモン誘導性転写因子として知られている遺伝子群の発現変動を、定量PCRで詳細に調査した。その結果、4日間の胚期のうち、①3日目前半にピークのあるもの(Kr-h1, E75C)、②3日目後半から4日目前半にピークのあるもの(E75A, E75B, E75E, HR3, HR4)、③ふ化直前の4日目にピークのあるもの(Ftz-F1)、④恒常的に発現しているもの(E75D)、の4通りに分類できた。
【胚期の器官形成におけるJHの役割に関する解析】 コクヌストモドキ胚期において、JH受容体遺伝子Methoprene-tolerant (Met) をRNAi法によりノックダウンすると、大半の個体が致死となることを前年度の研究で明らかにした。本年度はこのMetノックダウン胚における転写因子の発現量を調査したところ、JHの初期応答遺伝子であるKr-h1の発現が通常個体よりも減少していることが明らかになった。したがって胚発生においても後胚発生と同様に、MetとKr-h1を介するシグナル伝達が働くことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画では、上記の研究概要で説明した実験に加えて、「胚期におけるJH誘導性遺伝子の網羅的探索」も行う予定であったが、既知の転写因子の中で胚期にもJH誘導性を示すものが見つかったため、計画を若干変更し、まだ実施していない。このように当初の研究計画とは若干変更した部分があるものの、全体で見ると研究は概ね順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

これまでの研究経過を踏まえて、以下の研究計画および研究推進方策を考えている。
【脱皮ホルモンの生合成時期の解明】 これまでにJH生合成に関して調査したのと同様の手法で、胚期における脱皮ホルモンの生合成時期を調査する。
【胚期の器官形成における脱皮ホルモンの役割に関する解析】 脱皮ホルモンの生合成やシグナル伝達をRNAi法によりノックダウンした胚を作成し、その表現型を調べる。
【胚期におけるホルモンのシグナル伝達経路の解明】 脱皮ホルモンおよびJHのシグナル伝達に関わる転写因子をRNAi法でノックダウンした胚を作成し、下流の転写因子の発現に及ぼす影響を調べる。これらの結果を総括し、胚期におけるホルモンのシグナル伝達経路を解明してゆく。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究では合計90万円の直接経費が交付される見込みであるが、その大半を試薬・消耗品などの物品の購入に充てる予定である。また、日本応用動物昆虫学会および日本農薬学会の年次大会への参加や、共同研究者との研究打合せのために国内旅費を使用する予定にしている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] コクヌストモドキの胚発生期における幼若ホルモンの生合成および機能

    • 著者名/発表者名
      鷲津ゆみ子、三浦健、田中利治、篠田徹郎、水口智江可
    • 学会等名
      第159回日本昆虫学会・第96回日本応用動物昆虫学会合同東海支部会講演会
    • 発表場所
      名古屋大学農学部

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公開日: 2014-07-24  

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