研究課題/領域番号 |
23780058
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
二橋 亮 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (50549889)
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キーワード | トンボ / 体色変化 / 体色多型 / 色素 / 構造色 |
研究概要 |
トンボは主に視覚でお互いを認識するため、翅色や体色に著しい多様性が見られる。トンボの成虫における色彩変化や色彩多型については、生態学的、行動学的な視点から多くの研究が行われてきたが、具体的な色素や体色に関わる分子機構については、全く不明であった。平成24年度は、3種類のアカトンボ(アキアカネ、ナツアカネ、ショウジョウトンボ)の成熟オスにおける黄色から赤色への体色変化が、2種類のオモクローム色素の酸化還元反応によって生じることを、動物の体色変化に関わる新規なメカニズムとしてPNAS誌で報告した。さらに、白~水色のシオカラトンボでは、♂が成熟するとWax状の物質を大量に分泌し、その微細構造に基づく構造色であること、日陰を好む近縁種のオオシオカラトンボでは、UV反射能が弱く、生息環境の違いと対応していることを新たに発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度アカトンボの体色変化メカニズムについての研究内容を、PNAS誌で発表することができた。また、シオカラトンボのUV反射Waxに関しても、近縁種間で比較解析を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成23-24年度の結果をふまえて、今年度は体色多様性に関わる具体的な遺伝子の同定を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
ほぼ当初の予定通りの使用計画になった。平成23年度に大震災の影響で一部実験計画が変更になった影響で、7,557円が繰り越しになった。平成25年度は当初の申請書の研究計画に比べ実際の交付額が45万円少ないため、当初の研究計画にあったように平成25年度に中心的に行う遺伝子解析用の費用に充てる予定である。
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