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2012 年度 実施状況報告書

アーバスキュラー菌根のリン酸輸送メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23780062
研究機関信州大学

研究代表者

齋藤 勝晴  信州大学, 農学部, 准教授 (40444244)

キーワード菌根 / リン酸 / 共生 / 酸性ホスファターゼ / ポリリン酸
研究概要

本研究では、菌根機能を評価する有効な指標を見出すため、リン酸輸送に関わる植物と菌根菌の遺伝子・タンパク質・生体分子を解析し、菌根のリン酸輸送の分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。
課題1では、菌根菌のポリリン酸分解酵素と合成酵素の遺伝子を同定し機能解析することで、菌糸内でのポリリン酸代謝を明らかにすることを目的とした。アーバスキュラー菌根菌Glomus intraradicesのポリリン酸合成酵素GiVTC4を大腸菌で発現させ、精製後にATPを基質としてポリリン酸合成活性を測定した。GiVTC4は大腸菌のPPKに比べて活性は低いものの、ポリリン酸を合成することが明らかとなった。次にGiVTC4の抗体を用いて免疫電顕を行ったが、十分なシグナルを得ることはできなかった。今後、抗体の種類や賦活化などを検討する予定である。
課題2では、ミヤコグサの菌根特異的酸性ホスファターゼLjPAP3のノックダウン系統を作製し、菌根菌のポリリン酸局在や代謝に及ぼすLjPAP3の影響を明らかにすることを目的とした。LjPAP3のRNAi系統を用いて菌根菌のポリリン酸局在を解析した。検出感度を向上させるために、従来から用いられてきたSpurr樹脂に代わって親水性のLR White樹脂を用いた。LR White樹脂を用いることでラベルの量は上昇したが、非特異的なシグナルが上昇しておりポリリン酸検出にLR Whiteを使用するのは難しいと思われた。次に、LjPAP3を酵母Pichia pastorisで発現させることを試みたが、未だ十分な量のタンパク質を精製するには至っていない。LjPAP3の抗体を用いて免疫電顕を行い、LjPAP3は植物と菌との境界であるペリアーバスキュラースペースに分泌されることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

[課題1]菌根菌のポリリン酸分解・合成酵素の同定と機能解析
当初の予定通り、ポリリン酸合成酵素GiVTC4の活性を検出することができたが、GiVTC4の局在を免疫電顕で明らかにすることはできなかった。この原因として、抗体の種類や免疫電顕で行う賦活化処理にあると思われる。
[課題2]ミヤコグサ酸性ホスファターゼのポリリン酸代謝
LjPAP3の局在解析は予定通りに実施し、LjPAP3がペリアーバスキュラースペースにあることを明らかにできた。一方で、酵母Pichia pastorisタンパク質発現系でのLjPAP3精製については、未だ十分な量のタンパク質が得られず、生化学的な特性の解析には至っていない。また、RNAi系統を用いたポリリン酸局在についても、LR White樹脂を用いた検出法が困難であることが明らかとなり、現在手法の再検討を行っている段階である。

今後の研究の推進方策

[課題1]菌根菌のポリリン酸分解の同定と機能解析
昨年度に引き続き、ポリリン酸合成酵素GiVTC 4の局在を明らかにする。今年度は抗体の種類を検討するとともに、いくつかの賦活化条件を検討し、外生菌糸と内生菌糸におけるポリリン酸合成酵素の局在を明らかにする。
[課題2]ミヤコグサ酸性ホスファターゼのポリリン酸代謝
昨年度に引き続きミヤコグサLjPAP3のRNAiノックダウン系統を用いて、ポリリン酸ラベリング法を用いて菌根のポリリン酸局在を詳細に解析する。今年度はポリリン酸の検出にSpurr樹脂に包埋した試料を用いてエッチング法を再検討し、ポリリン酸の検出感度を高める。また、LjPAP3の酵素活性については、Pichia pastorisの複数の株を検討し、高発現のクローンを選抜し、大量のLjPAP3精製を目指す。精製後はポリリン酸分解活性等の生化学特性を評価する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (9件)

  • [学会発表] ミヤコグサにおける根粒と菌根のRNA-seq解析2013

    • 著者名/発表者名
      半田佳宏・武田直也・鈴木穣・川口正代司・斎藤勝晴
    • 学会等名
      植物生理学会
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      20130321-20130321
  • [学会発表] LjPAP3 encoding purple acid phosphatase involved in P-transfer in the plant-fungal interface of arbuscular mycorrhiza2013

    • 著者名/発表者名
      Saito, K., Osada, Y., Nakiri, K., Saito, M. and Ezawa, T.
    • 学会等名
      7th International Conference on Mycorrhiza (ICOM7)
    • 発表場所
      India Habitat Centre. New Delhi, India
    • 年月日
      20130106-20130111
  • [学会発表] ミヤコグサ菌根共生特異的変異株ME2329とME778の表現型と連鎖解析2012

    • 著者名/発表者名
      小島知子・斎藤勝晴・大場広輔・菅沼教生・川口正代司・大友量
    • 学会等名
      植物微生物研究会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      20120926-20120926
  • [学会発表] ミヤコグサにおける根粒と菌根のRNA-seq解析2012

    • 著者名/発表者名
      半田佳宏・武田直也・鈴木穣・川口正代司・斎藤勝晴
    • 学会等名
      植物微生物研究会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      20120926-20120926
  • [学会発表] 菌根誘導性パープル酸性ホスファターゼのRNAi系統を用いたポリリン酸局在解析2012

    • 著者名/発表者名
      齋藤勝晴・名切孝介・松本忠太・齋藤雅典・江沢辰広
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 発表場所
      鳥取大学
    • 年月日
      20120904-20120904
  • [学会発表] アーバスキュラー菌根菌におけるポリリン酸超集積 無機イオン輸送およびエネルギー供給に関わる遺伝子群の網羅的解析2012

    • 著者名/発表者名
      菊池裕介・谷千春・土方野分・半田佳宏・川口正代司・齋藤勝晴・江沢辰広
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
    • 発表場所
      鳥取大学
    • 年月日
      20120904-20120904
  • [学会発表] Localization of polyphosphate in arbuscular mycorrhizal fungus colonizing in Lotus japonicus2012

    • 著者名/発表者名
      Saito, K., Osada, Y., Nakiri, K., Nishimura, A., Matsumoto, C., Saito, M. and Ezawa, T.
    • 学会等名
      International Society for Molecular Plant-Microbe Interactions 2012 XV International Congress
    • 発表場所
      Kyoto, Japan
    • 年月日
      20120729-20120802
  • [学会発表] RNA-seq analysis of root nodules and arbuscular mycorrhiza in Lotus japonicus and de novo transcriptome assembly of Glomus intraradices2012

    • 著者名/発表者名
      Handa, Y., Takeda, N., Suzuki, Y., Kawaguchi, M. and Saito, K.
    • 学会等名
      International Society for Molecular Plant-Microbe Interactions 2012 XV International Congress
    • 発表場所
      Kyoto, Japan
    • 年月日
      20120729-20120802
  • [学会発表] Mutant screening to find genes involved in symbiotic phosphate uptake of a model legume plant, Lotus japonicus2012

    • 著者名/発表者名
      Saito, K. and Ikegami, K.
    • 学会等名
      4th Japan-China-Korea Grassland Conference
    • 発表場所
      Centrair Hall, Aichi, Japan
    • 年月日
      20120401-20120401

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公開日: 2014-07-24  

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