研究課題/領域番号 |
23780065
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邉 哲弘 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (60456902)
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キーワード | 土壌生成 / 吸着 / 粘土鉱物 / 施肥 |
研究概要 |
本研究は、インドネシアの畑作地として重要な位置を占めるスマトラ島、ジャワ島の火山地帯を対象として、適正な施肥技術の確立を目的として行っている。本地域では、気候および地質が、スマトラ島北部からジャワ島東部にかけて連続的に変化しており、また、各地において標高に伴い気温と降水量が異なるため、多様な土壌が分布する。これまでに、スマトラ島北部からジャワ島東部にかけての広域から土壌を採取し、窒素、リン、カリウムといった肥料成分の吸着に強く影響する粘土鉱物の組成を調べた。また、各地点の土壌から土壌溶液を採取し粘土鉱物の熱力学的な安定性を調べることで、気候および地質が土壌粘土鉱物の生成に与える影響を調べた。結果として、地質および気候条件を反映し、スマトラ島北部からジャワ島東部にかけて、粘土鉱物組成が変化することを示し、また各地域で標高とともに鉱物の結晶性が低下することを示した。 平成24年度は、ジャワ島東部の火山帯の低標高および高標高より、非攪乱土壌を採取し、硝酸、リン酸、カリウムの溶脱試験を行った。その結果、両土壌で硝酸は溶脱しやすく、一方リン酸はほとんど溶脱しないことが示された。硝酸に関しては、流出液の濃度が最大になる時間が、低標高土壌より高標高土壌で遅く、非晶質鉱物への吸着による遅延が考えられた。また、カリウムは、高標高土壌より低標高土壌で溶脱が少なく、土壌に含まれるスメクタイトによる吸着が考えられた。また、火山灰地帯の土壌の鉱物的特徴を明確にするために、火山の少ないカリマンタン島の広域より土壌を採取し、その粘土鉱物の組成を調べた。結果として、スマトラ島、ジャワ島では、火山の影響により反応活性の高いアルミニウム・鉄の酸化物・水酸化物が多いこと、スマトラ島北部を除きバーミキュライトが無いこと、ジャワ島でスメクタイトができることが特徴であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、インドネシアのスマトラ島とジャワ島における粘土鉱物の広域分布と生成条件を明確にすること、また各種粘土鉱物が肥料成分の溶脱に与える影響を明らかにすることを目的としている。粘土鉱物の分布と生成条件については、明確で非常に良い成果を得ている。また後者についても、順調に成果を出しつつあり、粘土鉱物が各肥料成分の溶脱に与える影響が明らかになりつつある。以上より、本研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、本研究の最終年度となる。これまでに採取した土壌を分析し、肥料成分の溶脱をコントロールする因子を、鉱物性・化学性と物理性の両側面から明らかにするとともに、これまでの成果を学術論文および国内外の学会で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は補助試料採取のための外国旅費、土壌の表面活性を調べるための化学薬品等の消耗品費、成果発表のための外国旅費および国内旅費とする。
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