研究課題/領域番号 |
23780095
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
今村 大輔 摂南大学, 薬学部, 助教 (70454650)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 枯草菌 / 胞子 / クラスト / スポアコート |
研究概要 |
枯草菌の胞子の表面に任意のタンパク質を提示することにより、胞子をタンパク質提示粒子として利用するシステムを開発するため、枯草菌胞子の表面に露出しているタンパク質を解析した。昨年、蛍光顕微鏡観察像から、タンパク質が胞子のどの程度深い位置に局在しているのかを解析する方法を開発した(Imamura et al. 2010. J. Bacteriol. 192:518-524)。そこで、この方法を用いて、様々な胞子タンパク質の位置を解析した結果、CgeAとCotZの2つのタンパク質は、これまで知られていた層よりも明らかに外側に存在しており、未知の最外層(クラスト)を構成していることを発見した。さらに、免疫蛍光顕微鏡観察によって、枯草菌胞子の表面に露出しているタンパク質を解析したところ、CgeAとCotZは実際に胞子の表面に露出していることが明らかになった。また、CotZと相同性の高いCotYタンパク質もCotZと同様にクラストに局在しており、胞子の表面に露出していることが分かった(Imamura et al. 2011. J. Bacteriol. 193:4075-4080)。今年度の研究によって、枯草菌胞子の最も外側を構成するクラスト層を発見し、クラストに局在しているタンパク質を明らかにできた。そのため、これらのタンパク質は、今後、枯草菌胞子に外来タンパク質を提示するシステムを開発する上で、最も有望なアンカータンパク質となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
枯草菌胞子を用いた酵素提示システムを開発する上で、最も重要なことは胞子の表面に露出しているタンパク質を明らかにすることである。以前からこのようなシステムのアイデアはあったが、胞子上の各タンパク質の位置を解析することが困難であり、望ましいアンカータンパク質が不明であった。今回、枯草菌胞子の最外層(クラスト)を発見したことで、最も大きなハードルを超えることができたと言える。そのため、本研究は現在まで、とても順調に目的を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、枯草菌胞子を用いた酵素提示システムを開発する上で、最も重要な枯草菌胞子の最外層を発見した。そこで、今後はクラストに局在しているタンパク質のアンカーとしての適性評価と、さらなるクラストタンパク質の探索を行う。現在まで3つのタンパク質がクラストに局在しており、胞子表面に露出していることが明らかになっている。そのため、これらのタンパク質に実際に外来タンパク質を融合し、胞子表面に提示することで、その適性を調べる。また、これらのタンパク質よりもアンカーとして適しているものがないか探索するため、クラストには他にどのようなタンパク質が局在しているのかを解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は外来タンパク質を胞子表面に提示するためのアンカーとしての適性評価と、さらなるクラストタンパク質の探索を行う。そのため、主に枯草菌株作製のための遺伝子組換え実験用試薬やプラスチック器具の購入、オリゴDNAの合成に科研費を使用する。また、免疫蛍光顕微鏡観察を行うため、そのための蛍光試薬なども購入する。
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