研究課題/領域番号 |
23780097
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
安部 博子 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (40363220)
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キーワード | 出芽酵母 / 糖鎖機能 / 不均衡変異導入法 |
研究概要 |
本研究は糖鎖異常を補填することによって増殖能を回復した酵母株のその補填機能の解明から、糖鎖が持つ増殖制御機構を明らかにすることを目的とする。酵母の高マンノース型N-糖鎖の外糖鎖を除去し、マンノース5個までにトリミングしたN-結合型糖鎖を持ち、さらに新規育種技術である不均衡変異導入法の適用によって増殖能を回復させたYFY20株に、O-マンノース型糖鎖付加の抑制も同時に行う目的で、PMT1遺伝子(protein-O- mannnosyltransferase)の破壊を加えたYFY21株を取得した。しかしながら、YFY21株は再び、増殖能の低下および高温度感受性を引き起こした。そこで、不均衡変異導入法を適用し、増殖能等を回復させたYFY22株をこれまでに取得することに成功している。このYFY22株がどのようなメカニズムによってこれらの表現型を回復することができるのかを調べることを目的に、今年度は昨年度に明らかにした、YFY22株にて発現量が増加する遺伝子群および発現能が低下する遺伝子群のYFY21株における強制発現株、遺伝子破壊株を作成し、それら遺伝子改変株の増殖能について明らかにした。また、昨年度までに構築したPMT2およびPMT4の2重遺伝子破壊株の増殖回復株における、細胞壁センサータンパク質の細胞表層への局在能についての解析をおこなった。さらに、糖鎖機能と極性維持機能の解明を行うために、分裂酵母の糖鎖欠損株におけるアクチンの局在変化について解析を行った。以上の研究を通じて、N-結合型糖鎖、O-結合型糖鎖の増殖制御機能について明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した平成24年度に実施する研究計画(3)に関して、ほぼ解析が完了していること、(4)に関してもほぼ計画通りに進捗しているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に探索できた遺伝子の糖鎖抑制酵母における機能について明らかにしていく。同時に、糖鎖機能と極性維持機能の解明を行うために、分裂酵母の糖鎖欠損株におけるアクチンの局在変化について解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度末をもって終了の予定であったが、産前産後休暇及び育児休暇を取得したため(H25.3.1~H25.9.30)、平成25年度末までの延長申請を行った。引き続き遺伝子の糖鎖抑制酵母における機能について明らかにしていくと同時に、糖鎖機能と極性維持機能の解明を行うために、分裂酵母の糖鎖欠損株におけるアクチンの局在変化について解析を行う。
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