研究課題
本研究は、潜在的医薬品資源として重要な化合物群であるヨモギ属植物由来セスキテルペノイドの構造および蓄積プロファイルの多様性に着目し、その多様性創出の分子機構を、セスキテルペン合成酵素およびセスキテルペン骨格の修飾に関わるP450酸化酵素および、還元酵素遺伝子の構造、発現、および酵素機能の同属種間比較を通して理解することを目的としている。より具体的には、アルテミシニン生合成酵素遺伝子としてA.annua(クソニンジン)から既に単離されているADS、CYP71AV1およびDBR2とその相同遺伝子を複数のヨモギ属植物種から単離し、機能解析を進めた。アモルファジエン合成酵素(ADS)に対して極めて高いアミノ酸配列同一性を示すタンパク質をコードする遺伝子cDNAをアルテミシニンを生産しないヨモギ属植物種から単離し酵素機能を解析した。その結果、に対して83%のアミノ酸配列同一性を示すミブヨモギおよびクラムヨモギのADSホモログタンパクはα-ビザボロール合成酵素としての活性を有することを明らかにした。また、別のヨモギ属植物であるA. absinthiumのADSホモログタンパクは主生成物として構造未知のセスキテルペンを、副生成物としてアモルファジエンおよびα-ビザボロールを与えることを明らかにした。アルテミシニン非産生種由来のCYP71AV1ホモログタンパク質の各種セスキテルペン骨格に対する酵素活性試験では、A.afra由来のCYP71AV1ホモログがゲルマクレンA および δ-グアイエン に対して酸化活性をもつことが判明した。これまでにグアイエンに対して酸化活性をもつシトクロムP450モノオキシゲナーゼは報告されていない。今後、反応生成物の構造決定を行う必要がある。
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