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2011 年度 実施状況報告書

神経系におけるcGMP依存性キナーゼの新規基質を介した細胞内情報伝達経路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23780106
研究機関徳島大学

研究代表者

湯浅 恵造  徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (70363132)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード情報伝達
研究概要

以前の研究で、cGK Iの新たな候補基質としてdeath-associated protein kinase 2(DAPK2)、PCTAIRE protein kinase 1(PCTK1)/cyclin-dependent protein kinase 16(CDK16)、PCTK3/CDK18の3種類のプロテインキナーゼを同定した。本研究では、cGK Iによるリン酸化の意義及びこれらのプロテインキナーゼが関わる細胞内情報伝達経路の解明を目的として、以下の成果を得た。1.cGK Iは、DAPK2のSer299、Ser367、Ser368の3箇所をリン酸化した。DAPK2の擬似リン酸化変異体S299Dは、野生型に比べて約2倍活性が上昇し、また、自己リン酸化による自己抑制を打ち消し、Ca2+/CaM非依存的にも活性を有した。これに対して、S367D/S368D変異体の活性は、野生型とほとんど変わらなかった。2.S299D変異体は、マウス神経芽細胞腫Neuro2A細胞やヒト乳癌MCF7細胞において、野生型DAPK2よりも高いアポトーシス誘導効果を示した。3.プルダウンアッセイと質量分析法により、DAPK2と相互作用するタンパク質を同定した。現在、この相互作用の生理的意義について解析中である。4.PCTK1、3ともにcyclin Yとの相互作用は確認できなかったが、新たな結合因子を同定した。retinoblastoma proteinを基質としたin vitroキナーゼアッセイを行った結果、PCTK3は結合因子との共発現によって活性化することが明らかとなった。5.cGK Iは、PCTK3の12番目のセリン残基をリン酸化した。PCTK3の擬似リン酸化変異体S12Dは、野生型に比べて活性が1/2に減少した。これより、cGK IはPCTK3を負に制御することが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

第一の目的であるDAPK2およびPCTK3のcGKによるリン酸化の生理的意義について解明ができたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。PCTKに関して、これまで活性化因子が同定されておらず、その活性測定系は構築されていなかったが、活性化因子(結合因子)の同定に成功し、これを用いた活性測定法を確立するに至っている。また、DAPK2に関しては、Strep-tagを利用したアフィニティー精製と質量分析の組み合わせにより、結合タンパク質を既に同定しており、今後、この結合タンパク質との相互作用の生理的意義について解析を行うとともに、得られた結果を基にDAPK2特異的基質の探索を実施する予定である。

今後の研究の推進方策

本年度に確立したPCTK活性測定系では、基質としてCDKの基質であるretinoblastoma proteinを用いた。未だPCTK特異的な基質は同定されておらず、PCTKの機能を解明する上で基質の同定は必要不可欠である。そこで、プロテインアレイを用いて、PCTK3の基質タンパク質の探索を行う。プロテインアレイによる同定ができなかった場合、PCTK3を過剰発現した細胞から得た抽出タンパク質をディファレンシャル二次元電気泳動により分離し、リン酸化タンパク質染色試薬によりリン酸化タンパク質を検出し、これを質量分析により同定する。 DAPK2に関して、初めに、今年度同定した結合タンパク質との詳細な結合様式を解明する。結合タンパク質は、これまでに様々なタンパク質と相互作用することが報告されており、その中にはアポトーシスに関わるタンパク質も存在する。それらタンパク質との相互作用がDAPK2のアポトーシス誘導作用にどのような影響を及ぼすのか検討する。

次年度の研究費の使用計画

所属大学に質量分析計が導入されたこともあり、当初予定していた酵母two-hybrid法を実施せず、Strep-tagを利用したアフィニティー精製と質量分析のみによりDAPK2と相互作用するタンパク質を見出すことに成功したため、本年度の研究費の一部を次年度へ繰り越すことになった。同定した相互作用タンパク質は複数のアイソフォームが存在するタンパク質ファミリーであり、また、ヘテロ二量体を形成して機能することが報告されているため、次年度では、まず、DAPK2との相互作用タンパク質ファミリーとの結合様式に焦点を当て解析を行っていく必要があり、この解析に繰越し分を利用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] cGMP-dependent protein kinase I is involved in neurite outgrowth via a Rho effector, rhotekin, in Neuro2A neuroblastoma cells2012

    • 著者名/発表者名
      Keizo Yuasa
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: - ページ: in press

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2012.03.143

    • 査読あり
  • [学会発表] cGMP依存性プロテインキナーゼ(cGK)の新規基質同定2012

    • 著者名/発表者名
      一色衣香
    • 学会等名
      日本農芸化学会2012年度大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都府)
    • 年月日
      2012年3月23日
  • [学会発表] 神経細胞におけるcGMP依存性プロテインキナーゼとRhoエフェクターrhotekinの相互作用の解析2011

    • 著者名/発表者名
      土肥真
    • 学会等名
      第84回日本生化学大会
    • 発表場所
      京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      2011年9月23日
  • [学会発表] cGMP依存性プロテインキナーゼとRhoエフェクターrhotekinの相互作用部位および細胞内局在の解析2011

    • 著者名/発表者名
      土肥真
    • 学会等名
      第52回日本生化学会中国・四国支部例会
    • 発表場所
      広島大学(広島県)
    • 年月日
      2011年5月13日

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公開日: 2013-07-10  

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