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2011 年度 実施状況報告書

ホスホリパーゼA2を用いた抗原の構造安定性と抗体産生の相関性の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23780110
研究機関崇城大学

研究代表者

大栗 誉敏  崇城大学, 薬学部, 准教授 (70346807)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードホスホリパーゼA2 / 抗体 / 安定性
研究概要

南西諸島に棲息するハブの咬傷治療薬に用いられるハブ毒抗血清は、咬傷患者の出血や溶血活性には効果的であるが、筋壊死にはほとんど効果がない。これは、ハブ毒の主要な成分であるホスホリパーゼA2(PLA2)に対する抗血清中の抗体価が著しく低いことが原因である。本研究では、発現量の多い中性のPLA2と筋壊死活性の強い塩基性のBPIIを用いて、変異によって構造安定性を下げた抗原をマウスに投与した場合に抗体産生がどう影響するかを調べ、リゾチームで明らかにした抗原の安定性が抗体産生に相関するという理論が他の蛋白質でも適応できることを証明する。H23年度では、構造の一部を崩壊させて不安定化を狙ったBPIIの作製に着手した。BPIIにはMet残基が2つしかないためBrCN処理による部分切断を行った。BrCN処理したBPIIの二次構造解析を行ったところ未処理のBPIIと比べると二次構造の含有率はほぼ同じであることが分かった。この結果より、構造の一部を崩壊させて不安定化を狙ったBPIIが出来た。そして調製したBrCN-BPIIをマウスに投与し、血清中の抗体価を測定した。血清は、50ug/匹で一次免疫後に同投与量で2週間後に2次免疫を行い、それから2週間経過、即ち初回投与から42日後のものを用いた。ELISAにより調べた結果、BrCN BPIIはNative BPIIよりも抗体価が低いものとなった。即ち、部分的に構造を壊して不安定化を狙った抗原を用いても抗体産生価は大きく上昇しなかった。また、アミノ酸変異によって構造安定性を変動させた抗原を作製するために、リコンビナント体の作製に取り組んだ。大腸菌による封入体からの効率的な巻き戻しについて検討したところ、約1L培養当たりで約1mgのリコンビナントBPIIを得るのに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに、1)構造の一部を崩壊させて不安定化を狙ったBPIIの作製、2)抗原としてマウスへ投与後の血清中の抗体価測定、3)リコンビナント体の作製、が達成できた。H23年度では抗原の調製を主として試みたが、2)においてマウスへの投与及び抗体価測定ができた事は計画より進んだと言える。3)においては予想以上に困難であり変異体作製まで出来ていないが、リコンビナント体の作製に成功したという面ではハードルを越えたと言える。

今後の研究の推進方策

部分的に構造を壊して不安定化を狙った抗原を用いて抗体産生を調べた。結果として抗体産生量が下がったのは、BrCNで切断されたN末端の8個のペプチドがT細胞エピトープに影響したためと考えられる。H23年度では、数種の変異体作製を行い安定性を変動させた抗原を得る予定であったが、リコンビナント体作製の効率的な方法が困難で時間を要した。しかしながら効率的なリコンビナント体の作製方法は確立できたので、次年度は数多くの変異体作製に着手する。複数かつ効率的に変異体作製を遂行するためにはコストがかかる為に、H23年度では予算を少し残して次年度への大型機器購入へ回す計画を立てた。

次年度の研究費の使用計画

数多くの変異体作製に着手し、複数かつ効率的に変異体作製を遂行するために遺伝子変異キット、精製カラムなど購入する。さらに遺伝子操作及び変異体の培養精製に欠かせない遠心機を購入し、さらなる効率化を図る。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ハブ毒ホスホリパーゼA2アイソザイムの細胞死誘導に関わる立体構造領域

    • 著者名/発表者名
      大栗誉敏・中村仁美・千々岩崇仁、大野素徳・上田直子
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      平成24年3月29日

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公開日: 2013-07-10  

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