研究課題/領域番号 |
23780114
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐藤 努 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80334655)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | テルペノイド / テルペン環化酵素 / イソプレノイド / マイコバクテリア / 枯草菌 |
研究概要 |
1)新規C35テルペン環化酵素の発掘(1)枯草菌由来の新型C35テルペン環化酵素(Cyc2)の解析:FPPとは反応しないが、GGPPから環状ジテルペン(非天然型)を生合成した。また、酵素的諸性質を解析するため、基質ヘプタプレニル二リン酸の調製法を検討した。酵素的に合成する系はうまくいかず、現在有機合成法を検討中である。(2)枯草菌由来の多環性C35テルペン環化酵素(Cyc3)の解析:枯草菌が生産する新規イソプレノイドを単離・構造決定した。今後、Cyc3との反応を行い、生成物の構造を決定する。(3)マイコバクテリア由来の新型C35テルペン環化酵素(Cyc1)の探索:Cyc1候補であったMvan_1705は、大腸菌組換え酵素の酵素活性実験の結果、Cyc1ではないようであった。現在、マイコバクテリアゲノムを環状C35テルペン非生産マイコバクテリアへショットガンクローニングによって、Cyc1を探索している。2)新規C35テルペンのゲノムマイニングCyc2ホモログからのゲノムマイニング:好アルカリ性バチルスから新規非環状セスタ・トリテルペンを発見した。HepS・HepTホモログがFPPからC25、GGPPからC30のポリプレニル二リン酸を生合成し、Cyc2ホモログが非環状セスタ・トリテルペンを生産することが明らかになった。したがって、Cyc2ホモログは様々なテルペンの合成酵素ファミリーであることが判明した。また、セスタテルペン合成酵素の初めての同定でもあった。3)新規C35テルペンの単離・構造決定:マイコバクテリアが定常期以降に特異的に生産する新規C35テルペンを単離・構造決定した。生合成経路が対数増殖期と定常期以降で異なること、および段階的還元反応の順番がクロロフィル生合成と異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3種類のC35テルペン環化酵素の発掘のうち2種類については達成した。類似酵素のゲノムマイニングについては、好アルカリ性バチルスから新規セスタ・トリテルペン合成酵素を発見した。変異型酵素や基質アナログを用いた非天然型テルペノイドの創製については、GGPPとCyc2の反応から、非天然型ジテルペンを創出できた。したがって、概ね順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
1)Cyc2の基質ヘプタプレニル二リン酸の調製法に手間取ったが、有機合成法による方法に目途がついた。今後、Cyc2の酵素的諸性質を明らかにする。2)Cyc3と新規イソプレノイドの反応生成物の構造決定はすぐに達成できそうである。3)Cyc2と好アルカリ性バチルス由来Cyc2ホモログとのアミノ酸配列の違いから、部位特異的変異を行い、環状と非環状テルペンの作る分け機構を明らかにする。4)マイコバクテリアの1種をケン化処理すると検出される新規C35テルペンが見出されており、単離・構造決定する。5)マイコバクテリアゲノムを環状C35テルペン非生産マイコバクテリアへショットガンクローニングすることによって、Cyc1を探索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子関連試薬や溶媒を中心とした消耗品、国内学会の費用(日本農芸化学会、天然有機化合物討論会、香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会)および学術論文発表に必要な費用などに使用する予定である。
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