研究課題/領域番号 |
23780126
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 知子 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00342783)
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キーワード | 亜鉛欠乏 / 摂食 / 睡眠 / 糖代謝 / ラット |
研究概要 |
近年、我が国の若年女性において食事制限や摂食障害が増加している。摂食障害患者の多くには、睡眠障害など睡眠サイクルの乱れも見られる。一方、偏った食生活や食事制限による潜在的亜鉛欠乏が増えており、亜鉛が不足することで食欲不振が起こることも知られている。しかし、亜鉛欠乏が睡眠に及ぼす影響についての報告はない。食事制限を経験した女性が出産した子どもでは、睡眠・行動変化や生活習慣性代謝変化が生じている可能性も懸念される。そこで本研究では、ラットの成長期からの潜在的亜鉛欠乏が、摂食・睡眠に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。また、授乳期からの潜在的亜鉛欠乏が仔ラットの生活習慣性代謝に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 平成24年度には、成長期からの潜在的亜鉛欠乏が、睡眠サイクルに及ぼす影響を明らかにするため、ラットの睡眠脳波よび行動を非侵襲的に実時間記録し、経時変化を追跡する予定であった。また、睡眠促進作用を有するメラトニンの血漿中濃度、摂食・睡眠に関連する脳内モノアミン類(ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン)放出量の経日変化を追跡する予定であった。さらに、授乳期ラットの潜在的亜鉛欠乏が、成熟後の仔ラットの糖代謝や血圧に及ぼす影響を追跡する予定であった。しかし、産前産後の休暇・育児休業の取得に伴い、1年間中断したため、遂行することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度は、産前産後の休暇・育児休業の取得に伴う補助事業期間延長承認を頂き、研究を中断していた。当初予定していた研究計画を達成することができず、達成度は「遅れている」という状況である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)成長期ラットの潜在的亜鉛欠乏が、摂食・睡眠サイクルに及ぼす影響を明らかにする。SD系ラット4週齢に、亜鉛欠乏食、低亜鉛食、亜鉛添加食を給餌し、睡眠脳波および行動を非侵襲的に実時間記録し、経時的に追跡する。また、睡眠促進作用を有するメラトニンに注目し、血漿中メラトニン濃度を追跡する。さらに、既存のマイクロダイアリシスシステムを用い、摂食および睡眠に関連する脳内モノアミン類(ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン)放出量の経時変化を、非侵襲的に追跡する。(2)授乳期ラットの潜在的亜鉛欠乏が仔ラットの生活習慣性代謝に及ぼす影響を追跡する。授乳期のSD系雌ラットに低亜鉛食、亜鉛添加食を給餌し、成熟後の仔ラットの糖代謝、血圧を追跡する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験群は5群(成長期亜鉛欠乏食群、成長期低亜鉛食群、成長期亜鉛添加食群、授乳期低亜鉛食群、授乳期亜鉛添加食群)とし、SD系ラット50匹(各群5匹×5群×2試験)を検討に供する(50匹×@2千円=10万円)。実験食は、精製飼料(5万円)を用いて独自に調製する。さらに、ラットの行動を解析するためのビデオカメラ(10万円)、マイクロダイアリシス用透析プローブ(30万円)、ELISAキット(25万円)を予定している。旅費、人件費・謝金、その他については、申請時の計画どおりと考えている。
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