研究課題
βグルカンが腸上皮細胞のバリア機能に及ぼす影響について培養細胞を用いて評価した。タイトジャンクションに及ぼす作用について半透膜上で培養したヒト腸上皮細胞(Caco-2細胞)における電気抵抗値および標識デキストランの透過量を指標にして解析を行った。またヒト腸杯細胞であるHT-29MTX細胞を用いてムチン分泌農の評価を行った。加えて、単層培養用のチャンバーを利用し、半透膜上部に腸上皮細胞株を、下部にマクロファージ細胞株を共培養することにより、擬似的に腸管組織の環境を作り、その条件下で腸上皮細胞の頂端側(腸上皮細胞培養側)、基底膜側(マクロファージ培養側)からβ-グルカンで刺激し、マクロファージのサイトカイン産生について検討を行った。βグルカン処理により、Caco-2細胞の電気抵抗値は上昇し、また、HT-29細胞のムチン分泌量が増加したことから、βグルカンは腸上皮細胞のバリア機能を上昇させる可能性が示唆された。また、腸上皮細胞の頂端側からβグルカンを作用させた際には、基底膜側から作用させた場合と比べてマクロファージによるIL-1b産生の抑制とIL-10産生の増加が観察された。この結果は、βグルカンの作用が経口摂取時と非経口摂取時では異なっており、この違いには腸上皮細胞が関与することが示唆された。腸上皮細胞によるβグルカンの認識とそれを介した免疫応答の制御に関しては更なる実験が必要であると考えている。
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