研究課題/領域番号 |
23780151
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
高畠 令王奈 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品分析研究領域, 主任研究員 (20463466)
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キーワード | 遺伝子組換え / 検知 / 分析 / 効率化 / 簡易迅速 |
研究概要 |
本研究では、近い将来、あらゆるGM作物を検査することが事実上不可能となり、GM検査の実効性が破綻してしまう可能性が危惧されていることから、検知に適した領域を後から探索するのではなく、GM品種の情報等が塩基配列の状態で書き込まれた暗号領域を共通プライマー(以下、Common プライマーと記述)で挟んだ塩基配列を予めGM植物に導入し、一種のIDタグとして利用するものである。 今年度は、昨年度までに作出したDNA IDタグ導入イネ5系統からゲノムDNAを抽出し、ゲノミックサザン解析により、ゲノム中に単一コピーで導入された系統を複数選抜した。また、これらのゲノムDNAを用いて、Commonプライマーの特異性を確認した。また、暗号領域にDNAプローブをデザインし、各系統に特異的なプローブの設計を行い、系統特異性を確認した。DNA IDタグ配列は、あくまでも検出・同定を簡便かつ正確に行うことを目的として導入するものであり、遺伝子として機能することを想定していない。DNA IDタグ配列の近傍にはプロモーター等が存在しないことから転写されるとは考えにくいが、念のため、暗号領域の上流に、全てのフレームに終始コドンが現れるようなスペーサー配列を導入している。このスペーサー配列上に、共通プローブを設計し、全ての系統から共通プローブによる増幅が見られることも確認した。以上のような検討から、DNA IDタグシステムが実際に利用可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までのところ、DNA IDタグのグランドデザイン、DNA IDタグ導入モデル植物の作出、さらに、Commonプライマー特異性の確認、系統特異的プローブの設計および特性の確認、Commonプローブ特異性の確認まで、ほぼ全て予定通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、選抜されたDNA IDタグ導入イネより、純系ホモ化させた種子を単離する。さらに、これら種子を用いて、DNA IDタグ検知システムの定量分析法における精度や定量限界といった性能指標の評価を試みる。定量分析法の開発のためには、標準プラスミドの開発が不可欠であるが、DNA IDタグ共通領域とイネの種特異的な内在性配列が共に組み込まれた標準プラスミドを作製する。特に、次年度は最終年度であることから、学会発表や論文発表といった成果の公表を重視する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画どおり、物品費および旅費に使用する。なお、次年度使用額266,015円は、今年度の研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する
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