研究課題
最終年度の本年度は、データ解析を行ない、論文を投稿した。具体的には、まず、昨年度から取り組んできたモデルの開発を継続してモデルの構造を決定し、データにモデルを当てはめた。鳥類とハナバチに関しては不完全な発見率を考慮した。鳥類は各個体(テリトリー)を識別しているため、個体別に発見履歴が記録されている。そこで多項分布を用いて発見プロセスを考慮した。ハナバチに関しては個体識別されていない、より単純なモデル、すなわち二項分布を用いたN-mixture modelを用いて発見プロセスを考慮した。植物に関しては発見率は1と仮定し、発見プロセスは考慮しなかった。各分類群構成種の密度のパッチ面積依存性を考慮するため、種レベルの密度(植物は、正方形プロットへの出現確率)が面積の関数になるようにした。このモデル下で各種のパッチ全体での個体数が密度とパッチ面積に基づいて決定される。調査はパッチの一部分でしか行なわれないことを考慮し、上記の個体数が一定確率(調査面積÷パッチ面積)で調査区域に入ってくると仮定した。この個体が、発見プロセスを通じて発見されると仮定した。データを解析した結果、ハナバチの解析はそれほどうまくいかなかった。恐らくこの分類群の短期的な個体数の消長と発見率の低さ、個体数の多さなどが、推定を困難にしていたものと思われる。鳥類と植物では解析を行なうことができた。両分類群で、大面積パッチで密度が増加する種はおらず、面積が一定ならば、大面積の単一パッチと小面積の複数のパッチ間で、価値は等しいことが示唆された。一方で、森林性の植物は、パッチ面積が増加すると密度が若干低下する傾向が示された。データ添加法から、植物は半数種しか調査で発見されていないと推定された。結果として、面積の増加に伴う種数の増加は、「サンプリング仮説」に従うと考えられた。現在、結果をまとめ論文を投稿中である。
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Biodiversity and Conservation
巻: in press ページ: in press
10.1007/s10531-014-0622-9
Urban Forestry and Urban Greening
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