雨期乾季の明瞭な東南アジアの落葉性熱帯季節林において、森林-大気間の水・炭素交換量の季節変化の形成要因を長期現地観測に基づき調べた。土壌水分増加が展葉・蒸散開始の主要なトリガーであること、乾期初めには落葉や葉の光合成能力の明瞭な低下(量的・質的フェノロジー)はまだ見られないが、土壌水分低下による気孔閉鎖(生理的環境応答)が初期の蒸散量低下・純生態系交換量増加を促していたことから、降雨変動に伴う土壌水分変化が展葉や気孔開度を介して水・炭素交換量の季節変化の形成に重要な影響を及ぼしていることが分かった。
|