Muka14遺伝子の発現している組織としてスギの葯、Muka14遺伝子の発現していない組織としてシュートからそれぞれゲノムDNAを抽出した。抽出した葯由来のゲノムDNA及びシュート由来のゲノムDNAをバイサルファイト処理した。Muka14遺伝子のメチル化の程度を調べるため翻訳開始点から上流約3kbに渡りPCRで増幅し塩基配列の決定をおこなった。バイサルファイト処理をしていないシュート由来の塩基配列をコントロールにしてMuka14遺伝子上流域のメチル化の程度を解析した。メチル化の標的配列としてCpGが知られている。葯由来Muka14遺伝子の配列とシュート由来Muka14遺伝子のCpG配列を比較した結果、メチル化の程度に違いは認められなかった。この結果はMuka14遺伝子がDNAのメチル化の程度の違いによって発現が調節されている可能性が低いことを示唆している。一方で、Muka14遺伝子の翻訳開始点より上流約1kbを境に、ゲノムDNAのメチル化が大きく異なっていることが明らかになった。即ち、翻訳開始点上流1kbよりさらに上流域ではCpG配列がメチル化され、また下流域ではメチル化されていない事が明らかになった。Muka14遺伝子の雄花特異的な発現には翻訳開始点より上流1kbまでの領域が必要である事が分かっており、今回明らかになった非メチル化CpGの分布域と重なる。今回の我々の結果は、プロモーター領域のメチル化の程度を指標にして、目的遺伝子の発現調節に必須な領域を推定し、様々な機能を付与した組換え体作出に利用するためのプロモーター単離を効率化できる可能性を示唆している。
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