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2012 年度 実施状況報告書

土壌環境が異なる熱帯林における種レベルの栄養塩再吸収特性の評価

研究課題

研究課題/領域番号 23780175
研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

宮本 和樹  独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, 主任研究員 (60353877)

キーワードマレーシア / 熱帯ヒース林 / 再吸収効率 / 再吸収プロフィシエンシー / ボルネオ
研究概要

本研究の目的は、土壌の養分環境が異なる森林タイプにおいて、優占種が実現しうる葉の再吸収特性の最大値(再吸収能力)を種レベルで明らかにし、養分利用環境の違いに対する種の適応戦略を明らかにすることである。マレーシア、サバ州(ボルネオ島)の貧栄養条件下に成立する2つのタイプの熱帯ヒース林(Large crownとSmall crown)および、これらよりも土壌の養分環境が良好と考えられる混交フタバガキ林(MDF)の優占種について、樹冠部の生葉および落葉直前の葉をサンプリングし、葉における窒素の再吸収特性を再吸収効率(Resorption efficiency、以下RE)と再吸収プロフィシエンシー(Resorption proficiency、以下RP)という2つの指標で比較した。REは生葉中の栄養塩が落葉までに引き戻された割合(1 - 落葉の栄養塩濃度/生葉の栄養塩濃度)である。一方、RPは落葉中にどれだけ栄養塩が残っているかを示すもので、単純に落葉中の栄養塩濃度として表される(ただし、RPが高い=落葉中の栄養塩濃度が低い)。各樹種のREは約40~55%の値を示し、森林タイプ間および種間で有意な差は見られなかった。一方、RPは森林タイプ間で有意に異なり、MDF > Large crown > Small crownの順で落葉中の窒素濃度が有意に低く、RPが高いことが示された。また、同一森林タイプ内においてはRPに種間差はみられなかった。以上のことから、各森林タイプにはそれぞれの窒素利用環境のレベルに応じた特性をもつ樹種によって収斂していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各森林タイプにおける優占種の栄養塩の再吸収特性の解明へ向けた、生葉と落葉直前の葉のサンプリングは定期的に実施している。また、各樹種の落葉パターンを明らかにするためのリタートラップを用いた落葉の回収も並行して進めている。サンプルの分析については窒素に関して先行して進めているが、次年度からはリンについても分析を開始する。以上のことから、本研究は概ね計画通りに達成されている。

今後の研究の推進方策

本研究は海外に調査地を置いているためフィールド調査のための旅費が主な支出となっているが、次年度はこれに加え、リンの分析に必要となる各種試薬や実験用器具の購入を予定している。葉に含まれる栄養塩濃度の分析を効率良く進めていくため、実験環境の整備を進める予定である。

次年度の研究費の使用計画

該当なし。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 貧栄養条件下の熱帯林における主要構成樹種の葉の窒素再吸収特性2013

    • 著者名/発表者名
      宮本和樹、Reuben Nilus
    • 学会等名
      日本生態学会
    • 発表場所
      グランシップ(静岡県)
    • 年月日
      20130305-20130309

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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