樹木における落葉前の養分再吸収は、限られた養分利用環境に対する樹木の適応戦略として重要な特性である。養分利用環境の違いに対応した樹木の養分再吸収特性の違いを種レベルで明らかにすることを目的として、東南アジア、ボルネオ島のポドゾルとよばれる養分に乏しい環境に分布する熱帯ヒース林と、混交フタバガキ林を含む非ポドゾル性土壌に生育する優占種の生葉と落葉の採集をおこなった。葉の窒素とリンの再吸収効率は、非ポドゾル性土壌の森林と比べてヒース林で高く、同じヒース林でも林分によって違いがみられた。このことから、各森林タイプの養分利用環境の違いに応じて養分の再吸収特性の異なる樹種が優占していることが示唆された。
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