研究課題/領域番号 |
23780177
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
今矢 明宏 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (60353596)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 火山灰 / アルミニウム / 森林土壌 / 土壌炭素蓄積 |
研究概要 |
我が国は世界有数の火山国であり、全国に広く火山灰が堆積している。火山灰土壌は炭素を蓄積する能力が非常に大きく、温暖化の緩和に貢献している。しかし、山地にある森林土壌では、火山灰は他の地質風化物と混合し土壌の母材となっており、その分布が明らかでない。その分布を明らかにし、炭素蓄積との関係を明らかにすることは、炭素蓄積を人為的にコントロールしていく上で重要な知見となる。そこで本研究では、森林土壌における火山灰混入程度を広域に解析することで、温暖化の緩和機能が大きい森林土壌の空間分布を把握することを目的とし、全国から均等な割合で採取された森林土壌について非晶質および有機-無機複合体の形成に関与しているアルミニウム含有率を測定する。平成23年度は2008年度と2009年度に林野庁森林吸収源インベントリ情報整備事業で採取された土壌試料約1500検体の分析を完了した。その結果、酸性シュウ酸塩可溶アルミニウム濃度が高い土壌は、北海道東南部、東北地方北東部、関東地方、九州南部に多く分布しており、その分布は第四紀の火山活動を反映しているものと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に予定していた試料数の分析を完了し、土壌への火山灰混入程度の指標となる酸性シュウ酸塩可溶アルミニウム濃度の全国森林土壌における分布の概要を把握することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
全国から採取された森林土壌試料約2000点について引き続き分析を行う。その結果を用い、全国森林土壌における火山灰混入程度の分布を明らかにし、「森林吸収源インベントリ情報整備事業」による土壌炭素蓄積量の分布傾向を比較検討し、日本の森林土壌の炭素蓄積の分布への火山灰付加程度の関与を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度、賃金精算で生じた端数と合わせ、酸性シュウ酸塩可溶成分およびピロリン酸可溶成分の分析に必要な試薬、分析用ガス、フィルター等消耗品および分析補助のための人件費に使用する。また、成果の学会発表のための旅費を支出する。
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