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2011 年度 実施状況報告書

アカエゾマツバークを硬化促進剤とした低温硬化型フェノール樹脂接着剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23780189
研究機関地方独立行政法人北海道立総合研究機構

研究代表者

宮崎 淳子  地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林産試験場性能部, 研究主任 (50446340)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードフェノール樹脂 / 樹皮 / 木材 / 接着 / 硬化 / 熱圧
研究概要

フェノール樹脂にタンニンを含有する樹皮粉末を添加すると、通常より低い温度で加熱しても十分な接着強さを発現することが知られている。一方で、フェノール樹脂の組成によっては、こうした硬化促進作用が認められない場合があることが指摘されており、樹皮粉末を硬化促進剤として利用する技術を確立するには、硬化促進作用を受けるフェノール樹脂の化学構造を明らかにする必要がある。本研究では、アカエゾマツの樹皮粉末を硬化促進剤として用い、従来より低温での加熱で接着可能なフェノール樹脂を開発することを目的として、アカエゾマツ樹皮粉末による硬化促進作用を受けるフェノール樹脂の化学構造の特徴と硬化促進作用のメカニズムを調べる。 2011年度は、フェノール/ホルムアルデヒド/水酸化ナトリウムの配合比、および加熱時間を変えてフェノール樹脂を合成し、示差走査熱分析(DSC)を用いて硬化反応の速度論解析を行い、硬化促進作用の有無を検討するとともに、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)および13C-NMRを用いてフェノール樹脂の化学構造の特徴を調べた。DSCの結果、一部のフェノール樹脂で樹皮粉末を添加した場合に反応による総発熱量を示すΔHが増大した。また、反応速度が増大したものも認められた。DSCの結果におけるこれらの変化は、樹皮粉末の添加によってフェノール樹脂の硬化反応が促進されたことを示唆していると考えられた。また、合成したフェノール樹脂のGPCおよび13C-NMRの結果から、フェノール樹脂における低分子量分画の割合、メチロール基量が樹皮粉末による硬化促進作用の有無に関わっていることが推測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

種々の条件で合成したフェノール樹脂について、アカエゾマツの樹皮粉末の添加による硬化促進作用の有無をDSCを用いた速度論解析で明らかにし、促進作用の有無とフェノール樹脂の化学構造の特徴との関連付けを行ったことから、研究は計画どおりに進展している。

今後の研究の推進方策

2011年度は、解析的手法によってフェノール樹脂の硬化促進の有無を明らかにした。この結果に基づき、2012年度は実際の木材の接着におけるアカエゾマツの樹皮粉末によるフェノール樹脂の硬化促進作用を調べるために、熱圧条件を変えて接着試験を行う。また、アカエゾマツ樹皮を溶媒可溶部、不溶部に分け、それぞれについてフェノール樹脂の硬化に及ぼす影響を調べ、樹皮粉末によるフェノール樹脂の硬化促進作用のメカニズムを調べる。

次年度の研究費の使用計画

接着試験、および樹皮粉末の分離と硬化促進メカニズムの解明のために必要な試薬、消耗品を購入する予定である。また、成果を発表するために学会等への参加に係る旅費および諸経費、論文投稿の際の諸経費で使用することを計画している。さらに、情報収集等のために旅費を計画している。

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公開日: 2013-07-10  

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