研究課題/領域番号 |
23780192
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
内田 圭一 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教 (50313391)
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キーワード | 内湾 / 漁場環境 / 環境指標生物 |
研究概要 |
漁業現場で環境状況を推定できる指標生物の選定と環境の関係を明らかにする事を目的として,あなご筒漁と小型底引き網漁を対象に調査を計画し実施してきた。昨年の結果から,24年度の調査はあなご筒を中心に概ね計画通りに,月1~2回程度実施した。そして,指標生物の候補として上げた生物と内湾の漁場環境の関係について,以下の傾向をつかむことができた。 ①魚類は水温約15℃を境に混獲される種とされない種に分かれた(15℃以上アミウツボ,ハタタテヌメリ,15℃以下ヌタウナギ)。②甲殻類は水温が約15℃を下回ると混獲されなくなった。③ヨコエビは水温の低い方が,出現頻度が高くなる。④貝類の分布は底質と水深に依存している。⑤本調査以前より漁場の水温が季節を通じて高水温になっていた。その影響か,マダコの混獲が見られなかった。 ここまでの調査結果を踏まえて,平成24年度日本水産学会秋季大会において「東京湾あなご筒漁における混獲生物調査」として発表し,さらに第16回アナゴ漁業資源研究会にて「東京湾あなご筒漁業における混獲調査報告」として発表した。ここまでの研究の目的である,調査の実施と解析は概ね順調に進んでいる。 解析を進める中で,漁場環境のうち主に水温と漁獲される生物の関係や底質の関係が明らかになってきた。あなご筒漁は,生物の摂餌意欲が漁獲に左右する。すなわち,漁場で得られた水温と混獲生物の関係をより正確に把握するためには,水温をコントロールしながらの飼育実験を行い,水温と摂餌意欲の関係を明らかにする必要性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
底曳網による調査が実施できなかっため,一部調査計画を修正しながら研究を進めているが,あなご筒漁による調査から順調にデータを得ることができている。蓄積したデータの解析経過からも期待された結果が得られていることから,研究は概ね順調に進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
実績外洋でも述べたが,漁場で得られた水温と混獲生物の関係をより正確に把握するためには,水温をコントロールしながらの飼育実験を行い,水温と摂餌意欲の関係を明らかにする必要性が確認された。そこで,補完的にフィールで調査を行うとともに,得られた指標生物を研究室に持ち帰り簡便な飼育実験を行う。また,学会や研究会に参加し情報交換を行うとともに,得られた傾向を他の内湾でも応用するため,大阪湾,伊勢湾などでの調査も計画する。 合わせてデータの取りまとめを行い,論文に取りまとめ投稿すると共に,得られた結果を所属研究室のHPなどで公開し,漁業現場などへの普及を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
フィールド調査によって発生する旅費,およびサンプルの買い上げ費用,学会・研究会への参加費を計上する。また,飼育実験を行う上で必要となる消耗品費用を一部計上する。そして年度内の論文投稿を目指すとともにそれによって発生する投稿費用を計上する。
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