研究概要 |
平成24年度は、タンパク質および細胞レベルでのサイトカインの産生動態を指標とした魚病診断法の確立を試みた。まず初めにタンパク質レベルでサイトカインを検出するための Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay (ELISA)法を確立した。 IL-4/13A, IL-4/13B, IL-6, IL-10, IL-17A/F3, TNF-α, IFN-γ1, IFN-γ2に対するペプチド抗体を作製し特異性を確認した。これらの抗体を用いてELISA法を確立した。続いて、Th細胞におけるサイトカイン産生を検討したが、細胞内サイトカインの抽出が上手く行えず測定には至らなかった。このためLPSを接種したフグの血中炎症性サイトカイン(IL-6およびTNF-α濃度の測定を試みた。その結果、TNF-αおよびIL-6ともに、接種後3時間目より血中濃度が上昇し、6時間目で最も高い産生量となることが確認された。さらに、寄生虫感染時の産生動態を検討した結果、IL-10, IL-17A/F3, IFN-γ1, IFN-γ2の発現変動が認められた。同時に、抗寄生虫免疫を誘導するTh2サイトカインであるIL-4/13A, IL-4/13Bの高い産生が認められた。続いて、フローサイトメーターを用いた細胞内サイトカイン染色技術による、細胞レベルでの魚病診断法の確立を試みた。 まず初めに、T細胞のマイトジェンであるホルボール-12-ミリスタート-13-アセタートおよびイオノマイシンでTh細胞を刺激し、刺激後の産生サイトカインの検出を試みた。その結果、IFN-γ産生細胞の検出に成功した。当該技術を用いLPSで刺激したTh細胞を対象にIFN-γ産生細胞の検出を行った結果、刺激によってIFN-γ産生細胞の数が有意に増加することが確認された。
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