クルマエビTNFのmRNAの発現様式をRT-PCRにより解析し、スプライシングバリアントの有無を明らかにし、組換えTNFの作製に使用する遺伝子配列の決定を行った。また、組換えTNFの発現および精製条件の最適化を行った。さらにクルマエビTNFの受容体の探索および,TNF組換えタンパク質導入後あるいはRNA干渉法によるノックダウン後に,タンパク質発現量が変動する因子の探索を目的とした。 クルマエビTNFの遺伝子発現解析を臓器別に行い,それぞれ得られた増幅産物の遺伝子配列を解析したところ,当初同定されたタイプの他に3タイプのスプライシングバリアントが確認された。細胞外領域を用い質発現ベクターを構築し,組換タンパク質を作製し、Hisタグカラムによる精製を行った。TNF遺伝子に特異的なT7配列付加プライマーを設計し,二本鎖RNAの作製を行った。TNFの膜貫通領域を除いた遺伝子を増幅し, two-hybrid用 発現ベクターに組込みベイトおよびクルマエビのcDNAライブラリーを構築した。 クルマエビTNF組換え酵母とクルマエビcDNAライブラリーの組換え酵母との接合により得られた酵母のシークエンス解析を行ったが、TNF受容体のホモログと推定される遺伝子配列は認められなかった。しかし、エビ類ESTデータベースよりTNF受容体の全長を得ることに成功した。 TNF組換タンパク質を用い、クルマエビへのTNF接種後の経時的なサンプリングを行った。またTNFの二本鎖RNAを接種後3日目にサンプリングを行い、TNFノックダウンクルマエビのサンプルを得た。対照区には緑色蛍光タンパク質の二本鎖RNAを接種した。これらの全てのサンプルからリンパ様器官の摘出およびISOGENによるタンパク質の精製を行い二次元電気泳動に供した。その結果、TNFノックダウン時において、特異的に発現するスポットが確認された。
|