水産増養殖の現場では,栄養価の高い微細藻の大量生産と安定供給が強く求められている。一方,アレロパシー物質は,ある植物が産生する他種の増殖抑制・促進に作用する生化学的信号物質であり,自然界の個体群動態に重要な役割を果たしている。本研究では,アレロパシーを用いた餌料用微細藻の増殖改善技術の開発を目的とし,数種微細藻のアレロパシー効果を調べた。結果として,珪藻キートセロスのアレロパシーが高い栄養価を持つパブロバの増殖を改善できることに加え,パブロバは自己増殖阻害物質を産生していた。以上より,アレロパシー物質の利用や濃度管理は,餌料用微細藻の安定した大量培養技術の開発に寄与できる可能性がある。
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