海洋無脊椎動物、特に海綿動物の体内には多くの共生微生物が存在し、多様な二次代謝産物を生産することが知られているが、これらの共生微生物は難培養であると考えられている。本研究では、難培養微生物を培養可能にするべく、微生物生育に必要な宿主由来の因子、もしくは微生物間における新たなシグナル分子を探索すべく研究を開始した。スクリーニングをおこなったところ、クロイソカイメン中の共生微生物から生育誘引、もしくは生育補助作用を示す株を複数単離することに成功した。現在、複数の株から活性物質の単離を試みている。また、放線菌Streptomycessp.JAMM992からは5種の新規環状ペプチドを単離し、構造決定に成功した。これらの化合物は同種もしくは異種放線菌の生育に関与するタンパク質に作用することが示唆された。
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