研究課題/領域番号 |
23780212
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
神尾 道也 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教 (30578852)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 米国 |
研究概要 |
本研究はブルークラブの尿中の代謝物(メタボローム)の変動を明らかにし、さらに、成熟、脱皮、および性に特異的な化合物(バイオマーカー)を同定し、甲殻類のフェロモン、脱皮、成熟に関する基礎研究に資することを目的としている。最終的には同定したバイオマーカーのバイオアッセイを行いブルークラブのケミカルコミュニケーションにどのようにかかわっているのかを試験する。23年度は以前に2次元NMRの一種であるHSQCスペクトル解析により存在が示唆されていた脱皮前のメスの尿のバイオマーカーのさらなる解析を進めた。再解析の結果、スペクトル上には6つの主要な強い強度のクロピークが観察された。これらのクロスピークは同程度の強度を示すことから一つの化合物上に存在する、すなわち炭素数が6以上のバイオマーカーがひとつ存在すると推測された。さらに、中程度強度のクロスピークが13、弱いものが11確認された。これらは主要なバイオマーカー以外にもマイナーなものがいくつが存在していることを示している。これらのバイオマーカーの構造を明らかにするために精製を試みた。精製のためには当時、試料を所持していた米国アトランタ市のジョージア州立大学に出向き、各バイオマーカーのHPLCを水溶性化合物の分離に適したC30逆送カラムで行った用いた。分画した試料をNMRで解析したところ、バイオマーカーはフロントピークに溶出され、非常に高い極性を持つことが確認された。さらにゲル濾過カラム等を用いて分離条件の検討を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
23年度は脱皮前のメスのバイオマーカーの探索を雌雄間で行った。脱皮ステージ間での比較も行う予定であったが、東日本大震災の影響もあり、米国のノースカロライナへの採集旅行を控えたために十分な試料が手に入らず行うことができなかった。また、バイオマーカーの単離精製はHPLC装置が十分に使えず、進展が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに研究を進めていく。バイオマーカーの単離精製についてはHPLC装置を購入し円滑に進めることにした。バイオマーカーは高極性であることからGS-220カラムなどのマルチモードカラム、Amide80などのHILICカラムを用いて分離を試みていく。脱皮ステージ間の比較には試料の採集が不可欠であるため、9月の繁殖期に米国ノースカロライナ州に出向き、尿の採集を行いNMRによる試験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
バイオマーカー単離のために日本分光製のHPLCを110万円程度で購入する。また、GS-320カラムを20万円程度で購入する。米国への試料採集旅行には20万円使用する。
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