急速に流通圏を拡大しているスイカを事例に、ベトナムにおける青果物の広域流通の形成過程とその特徴について調査研究を行った。本研究により得られた主な成果は以下の4点である。 第1に、近年産地として拡大している中部高原地域では、移動耕作を主体とした周年生産が行われており、環境への負荷が著しい。第2に、中部高原地域をはじめとするベトナム国内で生産されるスイカの8割が国境市場を通じて中国市場へ輸出されており、中国市場への依存が非常に高い。第3に、ベトナム国内の流通網は中国市場の規格外品を国内流通させるために整備された。第4に、現在のスイカの国内分荷構造は、産地及び北部中継市場の2段階構造になっている。
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