研究課題/領域番号 |
23780224
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
田中 勝也 滋賀大学, 環境総合研究センター, 准教授 (20397938)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / フィリピン |
研究概要 |
平成23年度は生態系サービスへの支払い制度(PES)を多面的に評価するための基盤として、対象流域(フィリピンラグナ湖流域)における生態系サービス・災害リスク・貧困水準についてのGISおよび社会経済データベースを構築した。生態系サービスの包括的な評価に必要な指標は膨大であるが、本研究では土壌劣化・土壌流失・水質汚染に関連する指標を中心に情報の整備を進めた。データ構築の作業においては空間経済学・生態学・自然地理学などの知見による学際的な作業が必要となるが、Roberto Ranola氏(フィリピン大学農業経済学部教授)およびRogelio Concepcion氏(フィリピン農務省土壌・水管理局主任)の助力を得て円滑に進めることができた。また両氏を通じて現地研究者・実務家とのネットワークを構築することができた。 本研究課題では対象地域での農村聞き取り調査が重要な研究項目であり、そのための事前作業を進めた。具体的には、現地の流域において事前調査をおこない、地元農民や地方政府関係者に対して具体的な情報の聞き取りを実施した。その結果を踏まえて調査票の原案を作成するとともに、平成24年度に実施する本調査のスケジュールや、調査票の配布・回収に関するロジ的な項目の最終調整をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の基盤となるGISおよび社会経済データベースを構築するとともに、次年度の農村聞き取り調査に向けた現地の事前調査も当初の予定通りに実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度はまず、現地の対象地域(フィリピンラグナ湖流域)にて農村を対象とした聞き取り調査を実施する。次に聞き取り調査から得られた個票データとGIS・社会経済データベースを組み合わせてPES採択モデルを推計し、PES導入に対する農家の反応の予測をおこなう。この結果を踏まえ、将来的なPESの実施を想定した政策シミュレーションをおこない、生態系保全・災害リスク削減・貧困削減などの政策効果を定量的に明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね研究計画通りであるが、現地調査を大学共同利用法人総合地球環境学研究所と合同で実施することとなったため、旅費として計上した部分に余裕が生まれる可能性がある。その場合は、個票データ集計・整理のための大学院生の雇用など、人件費・謝金により多くの予算を振り向ける方針で検討を進めている。
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