研究課題/領域番号 |
23780226
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
工藤 春代 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60452281)
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キーワード | 食品安全 / 政策実施の検証 / 政策評価 / ドイツ |
研究概要 |
H24年度には、H23年度に引き続き、研究課題[1](食品監視体制の現状/課題と改善点の提示)および研究課題[2](政策措置の有効性評価に関する検討)の双方に関連して、法学や行政学等の関連領域における政策実施や政策評価の先行研究を収集し、そこでの知見を整理した。 また主に課題[1]に関して、23年度に実施できなかった国内での調査を24年度に実施した。具体的には、食肉を対象としたサンプル検査(収去と検査)の実情と課題について自治体の食肉衛生検査センターで、また農業生産段階における食品安全確保措置の実施検証に関する現状と、行政との協力や連携の体制について、農業生産者団体においてヒアリング調査を実施した。その結果、品目による状況の違いが確認された。なお課題[2]についてはヒアリング調査には至らなかったが、EUにおける、食品安全に関する規制の事前評価の事例を収集し、考慮される影響の内容やその推計手法・データについて整理した。これらは措置の事後評価を検討する際にも参考になると考えられる。 なお、23年度にとりまとめ投稿した、研究課題[1]に関連する、食品事業所に対する食品安全監視の体制に関する日本・ドイツの比較に基づく研究成果が24年度に公表された(13.研究発表の『フードシステム研究』総説)。また総説の内容と、上述した規制の事前評価についてのEUの事例を『農村と都市をむすぶ』原稿で紹介した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初24年度に予定していたドイツ調査を先行して23年度に実施し、23年度に予定していた国内調査を24年度に実施することとしていた。その計画に基づき、24年度には国内の自治体調査を実施することができ、特に課題[1](食品監視体制の現状/課題と改善点の提示)に関する現状と問題点を明らかにすることができた。 ただし、課題[2](政策措置の有効性評価に関する検討)に関して、理論的な検討とヒアリング調査の実施が申請書の計画より遅れているため、(3)とした。
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今後の研究の推進方策 |
25年度には、申請書の計画通り、国内およびドイツにおける補足調査を実施する。 具体的には、とりわけこれまで十分できなかった課題[2]についてのヒアリング調査を実施する。また課題[1]に関して、自治体および農業生産現場での調査をさらに1事例実施する。 そのうえで、これまでのヒアリング結果をまとめ、両国の比較検討を行い、改善点の提言を行う。3年間の研究成果を論文投稿できるように取りまとめを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度から約10万円の予算が繰り越されている。H24年9月から11月の2か月間、産後休暇を取得したこともあり、当初予定していた国内調査のすべてを実施することができなかったためである。申請時の計画では、H25年度の予算として日本・ドイツでのヒアリング調査のための旅費を最も多く計上している。この予算を、繰り越し分と合わせて両国での補足調査および成果報告のための旅費に充てる予定である。文献や資料収集のための費用や、消耗品費を計上しているが、これらについては申請時の予定通りの使用を計画している。
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